コミュニティー
カルテ10 TS病患者のコミュニティー会
TS病患者は性別が変わった事による身体的変化以外の部分でも
社会的立場の問題などが起こるが、今は法律や行政も
対応や相談が出来るようになっており、まだまだ問題はあるものの
それでも、わたしがTS病で女性になった頃に比べればかなりか改善している。
ただ、どうしても公的な支援や相談が出来ない事があるが
それは性に関する事や恋愛に関する事。
わたしも患者からの相談で上位2つはやはり性や恋愛に関する事。
TS病に罹患する年齢は十代半ばなので、ただでさえ性や恋愛に
関する悩み事が多いのに、性別が変わった事による戸惑いが更に大きい。
それに、元の性別の性に関してもまだ完全に理解してないのに
突然、異性の性を知らなくていけないのだ本当に大変である。
ただ、わたしはそこまで悩まなかったし、家族は姉1人を除いては
みなTS病罹患者でTSを経験してたので、話がしやすいのもあった。
とはいえ、皆が皆相談しやすい環境でないし、中にはしたくても
身近にTS病罹患者がいるは限らず、出来ない患者もいる。
そこで、とよやま病院ではTS病患者同士のミュニティーを作っている。
「ど、どうも初めまして、倉田 了です」
「どうもはじめして、了ちゃん。ぼくは高橋みやび。
こっちはわたしの彼女の林 夕季」
「初めまして、みやびの彼女の林 夕季です」
「えーと、ここにいるって事は元男子同士で付き合ってる事なの?」
「うん、そうだよ。でも、お互いTS病患者って事は付き合った偶然知ったんだ」
みやびは待合室での事を話すと、了君は苦笑する。
「そ、そんな事があったんだ」
「でも、花巻先生が言うには、TS病の事を内緒にしてたら付き合ってた相手と
病院でばったり会って、実は相手もTS病でしたって事は意外とあるみたいだよ」
「そ、それって喧嘩になったりしないの?」
「椿先生も、その後の事は話してないけど、ネットだとやっぱり
関係がぎくしゃくしちゃうことが多いらしいけど、ぼくと夕季は今も仲良しだよ」
そういて、みやびさんは夕季さんの方を抱くが、夕季さんも顔を肩に乗せる。
「でも、みやびさんも夕季さんも、出会った頃はステージIIだったから
ある程度は気づくんじゃないのかな?」
「お互い違う学校だったのもあるし、出会った頃は声も見た目も制服も
女子だったから、案外気付かなかったかな」
「そ、そうなんだ」
「みやびと出会った時点で、わたしはステージIIの後期だったけど
ほぼステージIIIまだったわ」
「そこまでいってると、裸にならないと気づかないかも」
了君がそういうと、裸と聞いて2人とも赤くなったが了君は察したようだ。
「えーと、2人はもうそういうことをしてるのかな」
「しょ、正直に言う・……してます……」
みやびさんはさらに赤くなるが、夕季さんも下を向いて了君の顔を見られない。
それをみて、了君は苦笑いするのであった。
「まぁ、付き合ったらそう言う事はするけど……ちょっとうらやましいかも」
了君はつい本音がでて、しまったという顔をする。
「もしかして、了ちゃんも気になってるの?」
「……かなり」
了君は性別が変わってそう言う事が出来るのか、気になってる事を2人正直に話す。
「ぼくたちはなんかあっさりできたよね」
「そうね、意外とあっさりだったわね。ちょっと怖いとは思ったけど
好きな相手とそう言う事を出来る事のって方が上だったかな」
「そうなんだ。あと……これを聞いてもいいかわからないけど……」
了君は言うかどうか悩んだが、聞ける機会はそうないのではっきりと言う。
「えーと、どっちが受けで、どっちが攻めなのか気になる……」
それを聞いて2人も顔を見合わせたが、すぐに笑った。
「確かに、それは気になりますよね」
「ごめん、初対面の相手にこんな事聞いちゃって……」
「別にいいですよ、友達にも聞かれるから慣れています」
「そ、そうなんだ」
「初めての時はわたしが受けで、みやびが攻めだったけど、2回目はわがしが攻めで
みやびが受けだったわ」
「そうなんだ……」
「その後はその時々ったかな。ただ、サイズの関係もあって、みやびの方が攻めな事は多いわ」
「ははは、参考になったよ……」
了君は思ったよりも詳細に話されたので、ちょっと戸惑ってたが
かなり参考になったようだ。
「2人ともぼ……わたしより、年下のに進んでていいな」
了君がそう言うと、2人は驚く。
「もしかして、了ちゃん……いや、了さんはぼくたちより年上なんですか?」
「ぼ……わたしは19歳で大学生だよ」
了君は最近、一人称を「僕」から「わたし」に変えてるけどまだまだ慣れない様子。
「だ、大学生だったんですか!?ぼくより、背が小さいくてかわいいので
同級生か年下かと思って了ちゃんっと呼んでしまいました……」
「あ、別に了ちゃんって呼んでも構わないよ。わ、わたしもみやびちゃんと夕季ちゃんって呼んでいかな?」
「はい、構いません」
「もちろです」
「それじゃ、よろしくね、みやびちゃん、夕季ちゃん」
「こちらもです」
「よろしくお願いします」
3人は今日であったばかりであったが、すぐに打ち解けたのであった。
「はぁ、若いっていいわね」
その様子を見てた私はため息をついてそう言う。
「花巻、年より臭いぞ」
「34歳ですから、それなりに年ですから」
「それをいったら40歳の俺はどうなる」
「10代とくらべたら、同じ年寄りでいいじゃないですか」
「確かにそうだが、なんか納得できないぞ」
椿の先輩医師の福沢恵一と話しながら、3人の様子を見ている。
今日のコミュニティー会に来ているのは、みやびさん、夕季さん、了君の3人だけ。
何時もはもう少し多いそうだけど、皆さん都合が合わなかったので3人だけであった。
コミュニティー会には医師も参加するが、話しかけれるか問題が怒らない限りは
患者同士で話は聞くだけで、ただ見ているだけ。
そして、私は今回初めてコミュニティー会に参加しました。
「今回、はじめて参加しましたが、やる事はないんですね」
「まぁ、な。一応、報告は書くが、トラブルがなければ無事終了しました
って書くだけだからな。
患者同士の話は犯罪行為でない限りは、何も聞いてないって事にんってるからな」
患者同士の話は個人に関する事が多いので、聞いた事はもちろん口外しない。
なので、先ほどの様な性的な話も結構しているのである。
「今の子は意外と性的な事が早いですね」
「そうか?私はもそれなりに早かったぞ」
「福沢先生は12歳で発病しましたからね」
「そうだが、外見は女だけどな」
福沢先生は元女性であるが、性器は男性になったが外見は女性になっている。
女性ホルモンを投与したと言う訳ではなく、自然に女性化した変わった症例である。
原因は男性ホルモンに反応しない、または反応が弱いとされているが
原因は不明であるが、ホルモンのレプター異常とされている。
反応しない場合は精子が作られないが、弱い場合は精子が作れる事もあるが
福沢先生は反応は弱いが、精子が作れるため結婚し、子供が2人いる。
「声も外見も女性なのに、戸籍は男性にしたのは何故ですか?」
「何故って、好きな相手がいたからだからよ。つまり、今の妻だけどな」
「大川先生と言い、好きな人のために選択するのはいいですよね」
「ま、本当に愛する相手がいたら、周りが何を言おうとその人のためにするんだよ」
「福沢先生、恥ずかしい事言わないでください」
「別に恥ずかしい事じゃない、愛するって事はそう言う事だ。
花巻も付き合ってる相手がいて、結婚を考えてるから少しはわかるだろ」
「わかりますが、実感がないです」
「そのうちわかるよ」
「わかりました」
私は頭ではわかっているが、やはりまだはっきりとはわかってない。
ただ、好きな人のためと言うのは、太一付き合ってわかってきている。
そしてこの2人の会話を聞いてた3人はなんか恥ずかしくなっていた。
「やっぱり、大人は違うよね」
「わ、わたしも19歳だから一応、成人だけど大人って訳じゃないし」
「了ちゃんはまだ恋人はいないのですか?」
「いたけど、TS病で性別変わったら、関係がぎくしゃくしてちゃって
結局別れちゃったけど、仕方がないかな」
「す、すみません」
「別にいって。その前からうまく行ってなかったからね。
お互い何度も別れ話をしようとしたけど、なかなか言えなかったけど
わ、わたしがTS病になったて、はっきり別れるとなったんだ」
「そうんなんですか」
「だから、2人はお互いがTS病ってわかっても、別れないから凄いね」
「わたしはみやびが好きだから、わたしだけTS病になっててもみやびと付き合ったかな」
「ぼくも、ぼくだけTS病になってても、夕季とは付き合ってたかな。
だって、夕季は男の時から女の子ぽかったしね」
2人はお互い男だった時の画像を見せたが、みやびさんは男の子らしかったが
夕季さんは性別が変わる前から、女の子みたくてて実はあまり変わってない。
「男の頃からわたしは確かに女の子ぽかったけど、それでも結構変わってるわ。
それに、男なのに女の子ぽいっって言われても、女の子同士じゃない訳だから
百合カップルじゃないでしょ?」
「そ、そうだけね」
「でも、TS病のお陰でみやびと百合カップルになれからね。好きよ、みやび」
「ぼくも女の子同士で付き合う事ができるなんておもわなかったよ、夕季」
そういうと、2人は見つめ合てそのままキスをした。
「ふ、ふたりとも大胆だね」
了君はいきなりの事だから慌てたがそれを見た私と福沢先生は
「やっぱり、若い子は大胆でいいわね」
「だな、俺も若い時はここまでできなかった」
と感心していたのであった。
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