第37話 マンパワー
名手がビルの屋上から狙撃銃のスコープを覗きながら無線機越しにチームメイト達に指示を出している
(なるほどね魔法によって生み出されたシミュレーション空間、そこで演習は行われるワケだ)
と落合が一人で考察していると華山が話し掛けて来た。
「緊張していますか?」
「い、いえぇ……!」
「えへへ、大丈夫ですよ私も最初はそうでしたから、リラックスリラックスですほらこんな感じで~」
と変な踊りを踊り始める華山それに合わせて落合もその変な踊りを踊り始める
場所は再び名手に戻る
「小夜、そのまま真っ直ぐ行くと三人と当たるよ!」
「そう、ならそのまま突っ切ってやりましょう!」
「えぇ!? ホンキ!? 待ってよ! 小夜!!」
「梨里! 寧々不死さん! バックアップは任せたわよ!」
名手は大きなため息を吐いた。
「もう! こうなると人が変わるんだから!」
「荒川さん! 一人だけで突出するのは危険です! ここは障害物も多いので名手さんの狙撃も届かない地点が広いんですよ!?」
「大丈夫……! 私が全員、斬る!!!」
そんな暴走状態の荒川を迎え撃つのはリーダーの立川、鹿島、真壁の三人
「おいおい、アイツ一人で突っ込んで来やがったぞ……!」
「マジか!?」
「うっひぃ~こっわ~ここはリーダーと真壁きゅんに任せてアッシは逃げても構いませんかね?」
「馬鹿言ってんな迎え撃つぜ!」
三人はそれぞれの武器を構え足下に力を入れた瞬間に違和感を覚える
「!」
「足が!」
「滑る!?」
「マジか!?」
立川たちの足下が気付かぬ内に凍っており、足下がよく滑るように丁度良く表面が溶けている
「これって」
「荒川の魔法だ……!」
荒川小夜の術式は凍結
その名の通り触れた物を凍らす事が出来る、しかし動物を凍らすには大量の魔力が必要になる、なので相手の足場を崩すのに使う機会が多い
「参る!!」
荒川の一閃が真壁の剣を吹き飛ばす。
「マジか!?」
そのまま真壁は転倒
立川が槍を荒川の首元に目掛けて突くしかし氷の壁がそれを防ぐ
「へぇ~そうやって障害物も造れるんだ~便利ぃ」
と呑気な口調でそんなことを言いながらも鹿島は拳銃の銃口を正確に荒川に向けるが
寧々不死に頭を撃ち抜かれ拳銃から弾が発射されることは叶わず
「ビンゴ、だね」
「ぐっ! 真壁!! 撤退だ!!」
「マジか!?」
「俺が荒川を引き受ける! その間にお前はポイントAまで戻れ!!」
「マジか!?」
その様子を遠巻きから観察している名手
「あーもう作戦もへったくれもないよ、完全に小夜のマンパワーゴリ押し大作戦と化しちゃってるよ、はぁ……これもう私要らないよね……」
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