第35話 行こうよ!

「まこまこ! ようこそ我が秘密基地へ!」


 秘密基地の正体は殆ど使う者がいない旧校舎の教室の一室であった。


「それでは我がチームメンバーの紹介といこうか!」

「その人……誰?」


 教室で一人木の枝を持っておかしな踊りを踊っていた女子生徒が口を挟む


「あぁごめんごめん、彼はなんと! なんとなんと! このチームの新メンバーのまこまこくんです!!」

「落合真君ね、私達と同級生の」


 と不十分な名手の説明を補完する荒川


「よ、よろしくお願いします……」

「よろしく……貴方は……信じる?」

「え、なにをですか……?」

「宇宙のその先があるって言ったら、貴方は信じる?」

「え? は、はいぃ……?」

「私は信じてる、そこに私のお母さんがいるハズなの……」

「お母さん……ですか?」

「うん、お母さん、ずっと昔に居なくなっちゃった」

「へ、へぇ……そうなんですか」

「まこまこも宇宙のその先についてなにか知ってる事があったらナナナちゃんに協力してあげてね」


 ナナナちゃんが落合に向かって右手を差し出す。


「握手しよ」

「は、はい!」


 慌ててそれに応える落合

 

寧々不死ナナフシ羅羽ラウ、よろしくまこまこ」

「よろしくお願いしますぅ……!」

「そしてもう一人が! 彼女!」


 と元気よく言ってお淑やかそうな眼鏡女子を指す名手

 

華山かざん愛菜まなです。よろしくお願いします落合さん」


 と言って礼儀正しく礼をする華山


「は、はい! よろしくお願いしますぅ……!」

「よーし! 自己紹介も済んだとこ早速で悪いんだけど演習をやってみよう!」

「も、もう落合くんは新人なんだからいきなり実戦は無理に決まってるでしょ!」

「大丈夫大丈夫! 今回の演習はまこまこに演習の雰囲気を味わってほしいだけだから、言葉で言うより実際経験してみないとわからない事も多いだろうし、まこまこもなにも気にせず楽しんでよ」

「梨里……でも」

「勝ち負けなんて重要じゃない、でしょ? そのタメに私達一緒にいるワケじゃないんだからさ、楽しもうよ」


 名手が落合の背中を叩く


「さ! 行こうよ! 新生チームの初陣だ!」

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