第16話 クラス


 地球防衛組織 クラス

 本拠地はアメリカのサンフランシスコだが国に属しているワケではなく民間企業である

 その高層ビルの最上階一室 

 そこにクラスの最高幹部たちが集まり日本で起こったテロ行為とその結末についての議論が繰り広げられていた。


「五人が同時に死亡した。なんの脈絡もなく……テロリスト達に街を占領されかけた事も一大事だがそれよりもこの件の原因を早急に追求せねばなるまい」


 最高幹部たちが集まっているこの作戦会議室は普通の会議室のような閑散としたシンプルなモノではなくバーカウンターのような造りをしておりカウンターの向こうの棚には酒も飾られている

 なぜそのような造りになっているのかというと完全に一人の幹部の趣味趣向による独断

 合理的な理由はない


「でもさ、手掛かりは一つもなかったんでしょ? 追求するんだーと言ってるけどどうやってするつもりなんですかい?」

「博士、まだ分析の結果は出ないのか?」


 博士はバーカウンターの向こうのバーテンダーの立ち位置に居た。


「先程、出ましたよ、結果は一時間前に伝えた時と同じ全て不明、魔力の発生場所も魔力の種類もそもそも五人を殺した犯人の魔力そのものがあの現場から検出されなかった。あそこまでの大魔術をつかっておいて一切なんの手掛かりも残さなかった」

「では魔法によって引き起こされた現象ではなかったのでは?」

「魔術師を一瞬で殺害できるような方法が魔法以外にあるとでも?」

「犯人が未知の力を使った可能性もある、我々が魔法と呼んでいる超能力以外のな……」

「だとしたら……」

「手の打ちようがない」


 その頃一方

 

「隊長! 飛行機の準備が出来たようです」


 隊長と呼ばれた女性は手元に持って居た書類をしまい席を立つ


「ありがとう、ニナ」

「マチルダ博士からの報告によれば日本で起こったテロリスト達を一掃した魔法と思わしき超能力について解明されたことはゼロ、全て不明という話です」

「ふふ、マチルダはどんな顔をしてた?」

「正に苦虫を噛みつぶしたような」

「あの子のそんな顔なかなか見れないよ、レアなモノが見れてラッキーだったねニナ」

「隊長、全て不明だなんて……こんな事は長く隊長の下で働いてきた私も初めての経験です。何が起こっているのか……隊長なら分かりますか?」

「……さぁ、行ってみない事にはなんとも言えないな、大丈夫だよニナ、どんな事があっても君たちは私が護るから」

「……隊長、私たちだって何時までも隊長に護られてばっかりじゃ……」

「わかってるよ、君たちの事は頼りにしてるよ、ごめんね別に君たちの事を頼りないと思って言ったワケじゃないんだ」

「い、いえそんな恐縮です。私こそ言い返してしまって申し訳ございませんでした」

「クロノス隊長! そろそろ出発しますよ!!」

「はぁい分かった。行こうかニナ」

「はい!」


 その頃一方


「今頃、本部は大混乱に陥っているだろうな」


 と姫が落合に聞こえる独り言を言っていた。


「本部? お前が属してる組織のか? へぇ面白い今度遊びに行ってみようか」

「クフフ、師匠が行ったら人体解剖される事になるやもしれませんな」

「クククッそれもいい」

「しかしなぜ学生に扮していたのですか? あの貴方が」

「生徒は一度も経験した事がなかったからな、一度は経験してみたくなったのさ」


 昔からそうだがやはりこの人の考えている事はよくわからんと思う姫


「ではこんなところで油を売っていたら生徒達が心配するのでは?」

「そこは心配するな、ちゃーんと分身を……」

「分身を?」

「分身……つくるの忘れてた」


 落合が学園に戻ると落合がいないと大騒ぎになっていた。

 落合がへにゃへにゃしながら寮に戻ると始めに涙目の烏間に抱きつかれた。


「うわーーんよかった……落合くん!!」


 街に誘ったのは自分なので落合にもしもの事があったらと気が気ではなかった烏間

 緊張の糸が解けたのかボロボロと涙を零している


「真くん! 何処も怪我してない!?」


 と次にかけよって来たのは柊

 それに対して落合は


「はいぃ……大丈夫ですぅご心配をおかけして申し訳ございません……」


 と力ない声で返事をするのみだったのであった。

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