第15話 規格外

「いたた……脇腹が……」

「そんな強く殴っておらんわ! それよりその子は大丈夫なのか!?」

「愚問だな、当然だろ、今は気絶してるがコイツに寄生してたヤツとは完全に乖離したし後遺症も残らない、ほら凄いだろ? 褒め称えよ」

「……バカ師匠」

「はーい今、弟子に暴言を吐かれました。訴えるので心の準備をしておいてください!」

「そ、そんなこと言ってる場合ですか!?」


 と叫んだのは黄金の目の少女

 行き成りの事だったので姫は驚き「ふにゅっ!?」という間抜けな声を出してしまう


「ははは、コイツは昔からドッキリ系が苦手でね、あまり驚かせないでやって欲しい、クククッなんていう冗談はここまでにしようか、先ずは状況確認だ。アンタ達の友人の命は助けた。という事はアンタ達の用事は既に済んだという事でいいな? もう他に捕らえられている友人なり親類なりはいないんだな?」

「え? は、はい……」

「だったらもう、此処には用はないな」


 落合は指を鳴らす。すると姫以外の少年少女は全員姿を消した。


「学園に転移させた。さて、残りの仕事を片付けようか、なぁ? 地上にいるあの五体を倒せば終わりか?」

「……」

「どうしたんだ?」

「師匠が見えてるモノはワシには見せませんので五体と言われても何処の五体の事を言われているのか分かりませぬ」

「えぇ? マジで? 修行不足なんじゃないの? ソレ」


(……相変わらずだな、この人は……相変わらずの規格外さ、それにこの傲慢さ……最後に会った時となにも変わらない)


 変わってない落合を見て安心と呆れの感情を抱く姫


「さて地上の様子を見てみようか?」


 次に姫がいたのは上空


「ひにゃっ!?」

「ははは! たまにはいいだろこういうのも」


 落合が上空から街並みを眺める

 街からは大量の煙が立っていた。


「クククッあちこちで暴れ回ってやがるな連中、それに応戦してる連中もいるお前の仲間か?」

「ひゃああああああっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「……少し落ち着けよ、ほら深呼吸」


 落合が姫の背中をポンと軽く叩く


「……えっ?」


 姫が目を開けると自分が空中の上に立っている事が分かった。


「う、浮いてる?」

「空中浮遊は初めてか? 良かったなこれでまた一つ新たなことを経験できた」

「……」


 姫は落ち着きを取り戻し街に意識を戻す。


「師匠! このままでは皆が!」

「死ぬな、かなりの数……だが最終的には大きな犠牲を払いながらもこの戦いには勝つ」

「そ、そんな……」

「なんだよ、この結果じゃ不服か?」

「み、見捨てる気なのですか!?」


 落合はその場に座り込む


「別に俺は正義の味方という訳でもないしな」

「!! 本気で言っているのですか……?」

「怒ってるのか? へぇ、流石は正義の味方、人が死ぬのは見てられないってか?」

「……当然でしょう、彼らは大事な仲間なのですから……」


 落合は顎を擦る


「居場所を見つけたか、クククッまぁいい」


 と落合は言って座った状態で唱えた。


「解放】


 と


「い、今何を……?」

「あぁお前に見せたことなかったっけか? こいつが俺の解放、効果は――」


 対象の死を確定する


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