第14話 黄金の目

 落合真はニナと呼ばれた少女の頭上で浮いている


「肉体ではなく精神に寄生するタイプのエイリアン、この星の技術じゃお前らを切り離すのは不可能だろうが、俺は違う、なんせ最強なんだからな」

《なる……ほど、お前がこの世界の……”超越者”か》

「ダッサ、流行ってんの? その呼び名、まぁ最強の魔術師も負けないぐらいダッサいが俺個人的には超越者の方が嫌いだね、なーんか偉そうだしな、クククッ」

《であれば話は早い、勝負はついたさっさと私を殺せ、超越者》

「……ふーん、諦めるの? へぇ……賢いというべきか根性無しというべきか、悩むところだな」

《お前を相手にするには全てだけでは少なすぎる》

「そもそもお前は全てなんざ司ってなかったんだよ、この宇宙じゃ威張れたんだろうが世界は広いお前より司ってるヤツは山ほどいる、例えば……俺とか俺とか……俺とかな」


 落合はエイリアンに向かって指を指す。


「すこーしチクッとしますよ! 我慢できなかったら手を挙げてくださいねー!」


 と落合は言う

 ニナの身体になんの異常も起きず落合は地面に降りる


「安心しな、全てを司るらしき者よ、お前は殺さないだがその子の身体とは分断させて貰った……それに――」

「な、なんだこれは」

「ベリーベリーキュートな猫型マスコットキャラクターになって貰うことにした。モチロンお前の力の殆どは封印させて貰った。これからはそのニナとかいう子のサポートでもしてやるんだな、不思議王国からきた不思議生物として永遠に幼女の肩の上にでも乗っている人生を楽しめよ、喋るときに変な語尾をつけるのも忘れるな」

「ふざけたことを……楽しいか、お前はそれで楽しいのか満足か?」

「あぁ、大満足だね! お前のそのみっともない姿……そそるねぇバカみたいで」

「……」


 猫型マスコットキャラクターになった全てを司る者は落合をジッと睨む


「せ、先生……?」


 と落合の背後から声がした。姫の声だ。

 驚き落合は姫の方を振り返る、すると姫が目を丸くして落合を見て居た。よろよろとした足取りで落合に向かって歩いて来ている


「認識してるのか、俺を?」


(ありえない……なぜ姫は俺のことを認識出来ている? コイツなら兎も角、姫に俺を認識する術はなかった筈……)


 姫の後ろに居た少年少女たちも落合に駆け寄ってくる


「お、おにいさん……?」

「……こいつは驚いた。お前らもか」


 落合は自分の周りに集っている子供達をズラッと見渡しある事に気が付いた。

 明宮の少女の瞳が黄金に輝いていることに


「キミ、確か青目だった筈だよな? それが金色に変わった……? へぇなるほどそれが原因か」


 落合はそう言うと顎を摩り思考を巡らす。


「その瞳が原因か、その瞳が俺の魔法を無効化してる、おかげで俺の姿を認識できるようになったわけだな、その上その瞳は周りの人間達にも同様の効果をもたらす世にも珍しい魔眼、そんなもん何処で拾ってきたんだ? お嬢さん」

「???」


 訳が分からないといった様な表情を浮かべる明宮の少女


「キミ自身も何が何やらといった感じか……まぁいい、その魔眼の出所に関して気になる所だが今は置いておこう、それより君らが俺の事を認識できてないと思って好き勝手に発言してたが恥ずかしい限りだな! クククッ」

「に、ニナは?」

「あぁ、安心していい、あの子は普通の人間に戻った余計なオマケもついてきてるが気にしなくていい俺からのプレゼントだとでも思ってくれ」

「先生!」

「痛い!」


 姫が落合のみぞおちを殴る


「……1年に一度、そういう約束でしたよね」

「イタタッ……なんの話だ?」

「最低でも1年に一度は顔を出すと! そう私達と約束したでしょう!? 今まで何処で何をしていたのです!? 100年ですよ!? その間私達がどんな気持ちで過ごしてきたか……」

「ハハハッ寂しかったのか? いやはや口調は偉そうになっていてもお前は変わらんな」

「……」


 もう一度落合のみぞおちを殴る姫


「痛い!」




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