第13話 最強VS全て


 姫たちからしてみれば触手は突然目の前から消えたので落合以外の全員がその場で呆然としている


「先程の触手くんたちは全てこの世から消した完全にな、だがそれを誰がやったのかこの子等は認識出来てないし、俺がこうして独り言をブツブツと呟いていることも認知できない、凄いだろ?」

「な、なにがあったんだ? ……まさか、いやでもこんな事が出来るのは……」

「おやおや、姫は勘づいている様だな、もしかしたら俺がやったのかもってな、だが落合真がやったとまでは気付きようがないだろう、幾らコイツでもな」


 姫は少し思考を巡らせたあと落合と子供達の方へ視線を移す。


「いや、後にしよう、十十!」


 十十はその姿を薄く広げ落合たちを包み込む


「このまま安全な場所まで汝等を送る、友達の件はワシに任せろ」


 文句は言わせんぞという圧と先程姫の足を引っ張った事に対する罪悪感と無力感も重なり子供達は姫になにか意見を言うことも出来なかった。

 しかし十十に包み込まれた落合達に強い衝撃が走る


「!? なんだ!? 攻撃!! 十十! 臨戦態勢!」


 十十は落合たちを包むのをやめ攻撃できる態勢に素早く移行する

 外に放り出された落合たちが目撃したのはまたもや大量の触手……それと1人の少女だった。

 その少女を見て子供たちは叫ぶ


「ニナ!!」

「な!? アレが汝たちの友人……?」

「なんで……なんで来たの!?」


 ニナは悲痛に叫ぶ


「友達だからだよ!」


 ニナを見た落合は顎を摩る


「……触手の正体はエイリアン共か、エイリアンがこの子に寄生し思考と身体の自由を奪っていると……悪霊の次はエイリアンね、全く何が起こってるんだ? 魑魅魍魎の大運動会でも始まるってのか?」

《我は全そして全てを司る者なり……》

「念話か、全てを司る……ね、本当か? そんなもんに出会った事は一度もないが……」

「何者だ!」


 姫が全てを司る者に向かって身構える 


《いった筈、全てを司る者と》

「……下がっていろ、ワシが相手をする」


 子供達の前に立つ姫


「に、逃げて! か、勝てない! コイツには勝てないの!! 幾ら貴方でも!! 死んでしまう!!」


 ニナが姫に向かってそう叫ぶが姫が退くことはなかった。


《この星の子よ、諦めよ、終わる、この星は終わる、礎になるのだこの宇宙の、この宇宙が生き長らえる為の礎に……》

「地球を消して宇宙を生き長らえさせる? なんじゃそりゃ宇宙が終わるレベルの脅威が迫っているんだとしても何故地球がなくなっただけでその脅威から逃れる事が出来る? ……謎が多いな」


 全てを司る者からの凄まじい魔力の圧に押され姫達が吹き飛ばされてしまう

 壁に叩き付けられる前に十十がクッションになり全員を救う


「ば、馬鹿な……なんだ。このデタラメな魔力は……」

「化け物……」

「お、お願い、みんなの命は救って、わ、私はどうなってもいいから」

《意味のない願いだ。どの道、この星は消えるのだ。遅かれ早かれ彼等も死ぬ事になる》

「十十! この者たちを連れ全力で逃げよ!」

「姫さんは!?」

「ここで時間を稼ぐ」

「そ、そんな! それじゃ……」

「なぁに安心せよ、ワシは死なんよ」


 と言ってニコっと笑う姫を見た落合


「格好のつけ方も様になってるじゃないか、クククッ」

《……お前は何者だ? ありえない私の前に突然現れるなど、接近に気付かないなど、ありえない》

「なぁんだよよーやく気が付いたのか? 全てを司る者なんて仰々しいことを言うもんだからどんなもんか気になってどの程度まで魔力の出力を抑えればお前が俺を認知できる様になるか探ってみたが……そんなんでよく全てを司る者なんて名乗れたな」


 落合はニナの頭上まで瞬間移動をする


「寄生タイプのエイリアンくんよ、お前が”全て”を司る者なら俺は”最強”の魔術師だ。こんな仰々しい上にバカッぽい二つ名がついてる者同士どうだ? 試してみないか? どっちが”上”か」


 落合の瞳が斑色に輝く

 

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