第10話 弟子
「ここをこうやってこうしてやる事で物質の変換を意図も簡単に可能にすることが出来たってワケ、まぁこの発見も随分と前のモノではあるんだが、あの当時はこの程度のもんでも発見する事が出来て嬉しかったもんだよ」
と語る落合の近くには既に笠松たちの姿はなく落合一人であった。
「……長く喋り過ぎたな、誰も聞いてねぇってのにはははっ長く生きすぎると独り言も長くなっちまう、困ったもんだね」
やれやれと落合が外に出ると空が真っ赤に染まっていた。
「クククッ誰かが何かを呼び出そうとしてんな? はてさて一体どこの誰をたたき起こそうとしてやがんだ? 地獄の使者? 天使? 悪魔? 神様? まぁどれもドングリの背比べ、似たようなもんだからなんでもいいがね」
「あぁ!?」
という若い声が聞こえたのでそちらを振り返ると落合と同じ制服を着た小等部ぐらいの背をした四人の少年少女たちが落合に向かって走って来ていた。
「お兄さん! ここは立ち入り禁止だよ! 早く学園に戻らないと大変な事になるよ!!」
「え? は、はいぃ……なにがあったんですか?」
「いいから早く逃げるよ!!」
少女が落合の手を取って走り出す。それに釣られ他の少年少女たちも落合を追って走り出す。
「不味い……! 不味い……!!」
「このまま暗弧屋(あんこや)に行こう! 水野さんなら助けてくれる筈……!」
「う、うん!」
落合の手を取っていた少女が誰もいない大通りに出るすると凄まじい電磁波と共に一人の男が落合たちの前に立ち塞がった。
「ふぅ、お嬢さん、あまり俺の手を煩わせないでくれよ」
「くっ……」
男はゆっくりと落合たちに近付いてくる
(狙いはこの女の子か、明宮(はるのみや)の血を引き継いでる魔眼使いのこの少女の力を使って何をしようとしてるのか……気になるようなならない様な……)
「明宮! ここは俺が引き受ける! 逃げろ!!」
一人の剣を持った少年が男の前に立ち塞がる
「雷鳴! 一人だけ格好付けようたってそうはいかないんだから!」
「わ、わたしだって役にたつ……」
「子供殺しは趣味ではない、私の精神衛生上の都合で悪いが……君たちとは出来れば戦いたくない、だからそこのお嬢さんだけを残して消えて貰えると助かる」
男の放つ魔力に威圧される少年少女たち
「私だけ逃げるなんて出来ない! お兄さん……ごめんね、一緒に戦ってほしい……お兄さんも魔法は使えるんだよね?」
「は、はいぃ……」
(この男とこの子たちでは魔力差がありすぎるな、ほぼ勝ち目はないと見ていいだろう……)
剣を持った少年が勇敢にも男に向かってゆく、剣に炎を纏って
(物に自分の魔力を流し込み炎を纏わしただけのシンプルイズシンプルな魔法、魔力を剣に全部流し込んだせいで身体を護る魔力がほぼゼロだ。あのまま剣を交えることもなく奴の雷魔法を受けて死んじまうな、あの子)
男は高速の雷魔法を自分に向かってくる少年目掛けて放とうとした瞬間
何かが男と少年の間に飛び込んできて男を吹き飛ばした。
「チッ……よぉ……」
「挨拶は要らぬ、来い、小僧」
現れたのは十本の尻尾と獣耳がついた幼女であった。
「”ファーストクラス”を相手にするのはちと骨が折れるな、どうだ? 見逃してはくれねぇか」
「……」
「ったく、冗談だよ冗談、どの道”お前たち”は始末しなきゃならねぇんだ。さぁケリつけようか」
男の身体から先程とは比べものにならない程の魔力が一気に放出される
「解放(リベラツィオーネ) ランペッジャメント」
十の尾を持つ幼女も同じく
「解放 十十(トト)」
(ファーストクラスとやらが何かは知らんがあの女の事は知ってる、十本の尾を持つ妖狐 姫(ひめ)、嘗て妖界の覇者と呼ばれた九尾の妖狐の一人娘であり俺の弟子の一人でもある)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます