第2話

自分の脚本はジェンコ以外の人からどう思われるんだろ。そう思って劇の責任者のタンコチャンに見せてみることにした。私とタンコは塾が同じで、タンコはジェンコとも仲がいい。

要するに、よく私とタンコ、ジェンコ3人で仲良くしてた。


土曜の午前、塾があったからその時に見せた。タンコ以外にも仲良い子が2人いたからその子たちにも見せた。1人はトゥンチャンともう1人はアマチャン。

とてもドキドキした。不安じゃなくて、なんだか嬉しい方のドキドキ。どんな反応が帰ってくるかな。


3人で私のスマホのメモに打ち込んだ脚本をまじまじ見てる。ドッッと笑いが起こった。塾だから静かにしないといけない、みんな声を殺してハッハッ笑ってる。アマなんか涙が出てるぐらい笑ってる。



まじで?そんなに面白い?


でもすんごく嬉しかった。自分が認められた。嬉しい、嬉しい、やっぱり間違ってなかったよ。私の脚本は天才。ジェンコの反論は嫉妬だったってこと。


私とアマはすれ違ったら挨拶するくらいの仲だったけど、アマはわたしに

「ほんと天才だよ」って。笑いながら苦しそうに言ってて、もう嬉しくて。頭にプロペラがついてそのまま上へ飛んでいって、塾の天井に突き刺さる嬉しさだった。


タンコも

「私ちゃん、めっちゃ面白いね」ニコニコして目が横に広がってる。

トゥンも私が取り入れた時事ネタのことをウケるやら褒めてくれた。

みんな笑ってる。ほかの塾生からしたら迷惑でしかないから、とりあえず幸せな気持ちでシーってジェスチャーして3人をなだめた。



でも、今思ったら見せなきゃ良かった。



みんなからの賞賛を貰った私は、私の脚本に反感を持つ人は、みんな、あの時から私にとって、完全に絶対的に悪になった。

私の脚本を批判するやつは、私にとって、そいつら全部センスが絶望的にないやつに認識されるようになった。


そして同時に夢を持った。この脚本を絶対に実現させたい。劇を見るみんなを笑わせたい。そして劇では1位を取りたい。

みんな黄団の劇が1位を取った理由は、脚本だと思う。ねぇねぇ、黄団の脚本書いた人誰なの?

噂によるとね…。


もう、すごくワクワクして、認められたことが嬉しくて、勉強なんか手につかなかった。ずっとそんな妄想してた。


問題は、ジェンコをどうするか。

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みんなくそ @jmd56

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