天罰
・小聖女アルフィーナ
意識を失って、私も療養所に運ばれた。
目覚めた私は、リカルド様の下へ走った。
リカルド様。
毒矢をうけて昏睡状態だった。
毒矢は右足に当たっている。
腕の良い処置者がいたのか?鏃は取られ、傷口も大きくない。このまま治れば歩けるだろう。
神経毒か?すでに半日は経過している。呼吸が止まればそれまでだ。
治せるはずだ。今度こそ!
毒は何か、それを想像しながら手をかざし、治癒の光をあてる。
普段なら、それだけで治ってしまう。
なぜ、だろう。
わからない。
なぜ光が出るのか。なぜ、それで治るのか。
そしてもう一つ。
なぜリカルド様には、治癒魔法が効かないの?
「神様。お願いします!!」
リカルド様が目を覚ますと”信じて”手をかざす。
・・・ダメだ。
届かない。
もう一度。
・・・ダメだ。やはりダメだ。
絶望がやってくる。
「アルフィーナ?」
メイティール様が悲しそうにリカルド様を見る。
そういえばメイティール様のほほに、新しい痛々しい傷がある。
手をかざす。
「やめて!アルフィーナ!」
「?」
やっぱりちゃんと効く。もう傷跡はない。だけどメイティール様は泣き出してしまった。
「すごい。やはり聖女様だ。あっというまに傷が消えた。」
お付きの誰かだろう。驚いた声が聞こえる。
もう一度。今度は矢傷をなおそう。
そして手をかざし、祈る。
・・・ダメだ。やはりダメだ。
リカルドごめんなさい。
一番大事な人を治せない。
私に天罰が下った。
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