父
・侯爵ヴィンダー
特使として派遣された。戦闘を見届け、和平を整えるためである。
派遣の命が遅れ、戦場についたのは、戦闘が終結して3日目であった。
道の途中で
「勝ったが元帥である第二王子が亡くなった」と聞いた。
それは勝ったといえるのか?
まあ、悪いことではない。第二王子の評判は良くなかった。
王は悲しむだろう。怠惰な王よ。ざまを見よ。
国にとっては良い結果だ。
事後処理をどうしたものか?考えながら戦場跡に到着すると、仲の良い伯爵が沈鬱な表情でやってきた。
「息子さんが昏睡状態です」
なにを言っとる。リカルドは廃嫡し、今は学生と商人のまねごとをやっている。
伯爵は言う。
「見事なお働きでした。敵の新魔術の存在を伝え、司令部に油断があると見るや最終防衛ラインを構築して死守しました。彼の副将は仮設の櫓から全軍を指揮して敵を包囲し、降伏に至らしめました。私も彼に助けられました。感謝申し上げます」
「いや、リカルドがここにいるはずがない。なにかの間違いだ」
「間違いではございませぬ。リカルド殿は荷駄隊を率いていたようです。彼は商会をもっていますからな。そして火薬なる新兵器にて、敵を食い止めています。彼に直接お礼を言わせていただきたいのですが・・・。心配です」
「リカルドはどこに?」
「南方の櫓そばの療養所です。王女様と聖女様が付いております」
「わかった。ありがとう」
「ここはお任せください。早く、彼のところへ」
「頼む」
人を呪わば穴二つか?
そんなことで息子を失ってたまるか。
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