3 side 猫 ②
初めの2日はじっと待っていた。
というか、他に行く場所がない。3日経ったとき、空腹が限界に達して、ご飯を求めに外に出た。
空腹だけどもベランダの壁を飛び越えるのはなんてこと無かった。
しばらく歩く。
しばらく歩く……。
大きな車が停まっている住処の前を通りすぎようとした時、女の人から声をかけられた。
「あら、リンちゃんじゃないの」
この人の前では、ボクはまだ「リン」でいていいらしい。
「お家に住まわせてあげられなくてごめんね。その代わりに、見かけた時はご飯を用意してあげるわね」
そう言ってその場を立ち去る。しばらくすると、お皿にご飯を入れて戻ってきた。
……食べていいのだろうか。女の人は笑顔である。
このままではいずれ、身動きが取れなくなってしまうと何となくわかっていた。
ボクは思案も程々に、お皿に口を近づけた。3日間何も食べていなかったのだ。お皿はすぐに空になった。
「いつでも来てね。私がいる時はすぐにご飯を出すわ」
そう言って、お皿を持って住処の中に入っていった。
ヒトコトお礼を言って、その場を立ち去った。
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