第25話「直接聞いてみよう」
「なに……?」
風見さんは不安そうに見てくる。
尋ねられて、俺はふと考えた。
もし俺が思った通りだったとして、俺はどうしたいのだろうか?
風見さんと付き合う?
それは光栄なことだし、正直風見さん自身のことはかわいいと思っている。
明るくて、こんな俺にも絡んでくれるくらいいい子なので、男子からモテるのもよくわかっているのだ。
だけど――好きか、と聞かれれば首を傾げてしまう。
今まで彼女とちゃんと向き合ってこなかったから、自分の気持ちがわからないのだ。
「何か言ったらどうなの……?」
「あっ、いや……別に、急いで帰ることでもないでしょ? ゆっくり帰ろうよ」
結局俺は、そんな誤魔化しをしてしまう。
ここで焦って答えるより、そっちのほうがいいと思ってしまった。
「……わかった」
風見さんはちょっと納得いかないような表情をしたけど、俺の隣に並んでくれた。
俺たちはそのまま、ゆっくりと歩いて帰るのだけど――。
「「…………」」
凄く、気まずい空気になっていた。
いつもなら風見さんが話を振ってくれるのだけど、彼女もあまり喋る気分じゃないのだろう。
主に俺のせいなため、申し訳なくは思うが。
こういうところで話を繋げられないから、俺はモテないんだ。
もう下手に喋るんじゃなく、自分の気持ちを整理させよう。
このまま彼女の家に帰れば、より気まずくなるのだ。
その時こそ、ちゃんと答えを出さないといけない。
俺はそんなことを考えながら、彼女の家に帰り――。
「風見さんってさ、本当に俺のことをからかってないの?」
まずは、確信を得ることにした。
ずるいかもしれないが、勘違いでしたで終わるのは怖い。
勘違いだった場合、俺が今からしようとすることは、もしかしたら俺たちの仲を終わらせることになるかもしれないのだから。
「からかってないよ。何度も言ってる」
いい加減しつこいと思ってるのか、ちょっと怒ったふうに風見さんは返してきた。
ここまでムキになったり、怒ったりするようなら、嘘ではないのだろう。
となれば、やはり俺が先程思ったことが正しいと思う。
「じゃあさ、俺のことが……好き、なの……?」
俺は風見さんの顔色を窺いながら、恐る恐るという感じで直接尋ねてみた。
すると――。
「~~~~~っ!」
風見さんは顔を真っ赤にして、言葉にならない声をあげてしまった。
さすがにこれで勘違いするほど、俺も鈍感ではない。
後は、おとなしく怒られよう。
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