新人配信者、魔法使いになる～これで最強無双配信者になってバズりまくり成り上がりまくり？～

第5話 究極の二択

　何を配信しようかなぁ……

　うーむ、サッパリ思い付かないなぁ……

　なんか腹が減ってきたな。

　そろそろ昼飯の時間か。

　何か食べようかな？

「そういえば、ハイテーに食事って、必要なんですか？」

「出している間は、必要ざますよ」

「出している？　ということは、引っ込めることもできるのですか？」

「できるざますよ。やり方は『イノセント生筋肉、味噌塩醤油（みそしおしょうゆ）筋肉、筋肉ジャスティス、ごちそうさまでした』と叫べば良いざます」

「また叫ぶんですか……　それに、なんでごちそうさまなんですか？」

「それも、ノリと勢いで適当に決めただけざます！」

「またそれですか！？」

「細かいことは気にするなざます！」

「はいはい、そうですか」

「クバリ、昼食にするんざましょ？」

「ええ、そうですよ」

「私ちゃんも食事を取ることができるざますよ！　べ、別に催促しているわけではないんだからねざます！！」

「なんですか、その言い方は？」

「ボケに決まっているざましょ！！　クバリ、ツッコミに勢いが足りないざますよ！！」

「はいはい、分かりましたよ。精進しますよ」

　ああ、面倒だなぁ……

「では、神様の昼食も作りますよ。ただ、味の方は期待しないでくださいよ」

「全力で期待してやるざます！　不味（まず）かったら、容赦なく文句を付けてやるざます！！」

「やめてくださいよ！？　こっちは素人ですよ！？」

「甘ったれるなざます！！　素人だろうが、評価はされるざます！！　ぐだぐだ言ってないで、さっさと作るざます！！」

「はいはい、分かりましたよ」

　台所にやって来た。

　さて、何を作ろうか？

　三人分も食い物あったかな？

　あっ、安かった時に買いだめしておいた、スパゲッティとボロネーゼがあるじゃないか。

　これにするか。

　スパゲッティをゆで、ソースをあえた。

　よし、完成だな。

「ハイテー、調子はどうだ？」

「ゲームの完成には、まだまだ時間がかかるでごわすよ」

「そうか。昼食ができたから、休憩にしないか？」

「分かったでごわす。いただくでごわす」

　テーブルに皿を並べた。

「神様はどうやって食べるんですか？」

「そこに置いておくだけで問題ないざますよ」

「そうなんですか？　では、どうぞ」

「いただくざます」

　神様がそう言った直後、神様のスパゲッティが徐々に消え始めた。

　なんだこれは！？

　食べる分だけ、どこかにテレポートさせているというのか！？

　さすがは神様、常軌を逸した食べ方だなぁ。

「いただきますでごわす」

　えっ！？

　ハイテーが金魚の被（かぶ）り物を外したぞ！？

　中から金髪碧眼（きんぱつへきがん）の美男子が出て来た！？

　あれがハイテーの素顔なのか！？

　なんであんなに美形なのに、妙な被り物を被っているんだ！？

　まあ、どうでもいいか！！

「うーん、このスパゲッティは、ゆですぎざますね。柔らかすぎるざます」

「はぁ、そうですか」

「ソースは市販品だから、まあまあざます。ただ、なんのアレンジもしていないところは、マイナスざますね」

「厳しいですねぇ……」

「私ちゃんはグルメざますからね！　クバリはもっと精進するざますよ！！」

「はいはい、分かりましたよ」

　俺、精進すること多いな……

　ああ、やれやれ……

　全員スパゲッティを完食した。

「ごちそうさまでごわす」

「ごちそうさまざます」

「お粗末様でした」

「さて、味の方はアレだったざますが、おごってもらったざますから、お礼くらいはするざます」

「お礼ですか。それはなんですか？」

「また聖水をおごってやるざます。ものすごくうまい茶色の聖水と、すさまじく不味（まず）い透明の聖水があるざます。どちらにするざますか？」

「なんですか、その二択は！？　ものすごくうまい透明な聖水にしてくださいよ！？」

「ダメざます！　そんなの面白くないざます！！　さあ、究極の二択ざますよ！！　どっちにするざますか！？　ハイテーにもおごってやるざますよ！」

「ありがとうでごわす。自分さんは茶色にするでごわす」

「ええっ！？」

　即答だと！？

「なんでそれを選んだんだよ！？」

「うまい方が良いに決まっているでごわす」

「でも、茶色なんだろ？」

「茶色のうまい食べ物は、たくさんあるでごわすよ？」

「まあ、確かにそうだけど……」

　茶色といったら、どうしても宇宙人が配信していたアレを連想してしまうんだよなぁ……

　神様の言った通り、俺が変態なだけなのだろうか？

「クバリはどうするざます？」

「うーん、そうですねぇ……」

「さっさと決めるざます！　決めないと不味（まず）すぎる茶色の聖水にするざますよ！！」

「ええっ！？　それはひどすぎるでしょ！？」

「なら、決めるざます！！」

「じゃあ、私も茶色で良いですよ！」

「分かったざますよ！　茶色二丁、お待ちざます！！」

　俺たちの前に、大ジョッキが現れた。

　そこには、茶色の液体がなみなみと入っていた。

　うわぁ……

　思った以上に、人体の出口から出て来るアレっぽいぞ……

「さあ、飲むざます！！」

「では、いただきますでごわす！」

　ハイテーが聖水を飲んだ。

　おおっ、ためらいもせずにいったぞ！

　すごいな！

「こ、これはうまいでごわす！！」

「えっ！？　本当なのか、ハイテー！？」

「本当でごわす！　クバリのアニキも飲んでみるでごわす！！」

「あ、ああ……」

　では、飲んでみるか。

　茶色の聖水をひと口飲んでみた。

　な、なんだこれは！？

　さまざまなうま味が複雑に絡み合っている、とてつもなくうまいカレー味だな！？

　しかも、のど越しも素晴らしいぞ！！

　見た目だけは、アレだけどな！！

　聖水を飲み干した。

「神様、ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでごわす。さて、自分さんは作業に戻るでごわす」

「ああ、頼むよ、ハイテー」

　ハイテーが金魚の被り物を被り直し、作業に戻っていった。

　さて、俺は配信のネタを考えるとしようか。