第2話 ステータスオープン
「なんでそうなるって、もちろん、この状況をどうにかして欲しいからざますよ」
「宇宙人のことですか!? そんなの聞いたこともないですよ!?」
「クバリたちが、気付いていないだけざますよ」
「では、その宇宙人は何をしているのですか?」
「動画配信ざます」
「配信ですか!? そんなので何ができるんですか!?」
「それを見た人々を魅了していって『ブヒャウマ』にしてしまうざます」
「ブ、ブヒャウマ!? なんですか、それは!?」
「なんでも言うことを聞く奴隷のような存在ざます。宇宙人たちは、そいつらを労働力にしているざます」
「そ、そうなんですか…… やはりそれにされると、悲惨な目に遭うのですか?」
「当然ざます。ブヒャウマのように働かされるざます」
「……それって、もしかして、馬車馬ですか?」
「ツッコミが遅いざます! それに勢いも足りないざます!!」
「ボケが分かりづらいだけですよ! 言い間違いなのかと思いましたよ!!」
「神である私ちゃんが、そんなことをするわけないざましょ!!」
「はいはい、分かりましたよ!」
怪しいけど、そういうことにしておこうか。
「というか、神であるあなたが、どうにかすれば良いのではありませんか?」
「それはできないざます」
「なぜですか?」
「神というものは、生物たちに手を貸してはいけないざます」
「いや、いま思いっ切り貸しているじゃないですか! 何を言っているんですか!? あっ、これもボケなんですか!?」
「これはボケじゃないざます!」
「じゃあ、なんなんですか!?」
「いま手を貸しているのは、特例中の特例ざます! このままだと力の差がありすぎて、地球人全員あっさりとブヒャウマにされるざます! そんなの見ててもサッパリ面白くないざます! だから、仕方なくほんの少しだけ力を貸しているざます!!」
「そんな理由なんですか!?」
「そうざます!」
「そ、そんなぁ…… 全力で地球人の味方をしてくれる神はいないんですか?」
「そんなのいないざます! 甘ったれるなざます!」
「ええ……」
「では、神は何をしてくれるのですか?」
「『
「ということは、神も配信を見ているんですか?」
「その通りざます。コメントをすることもあるざます」
「そうなんですか」
神って、意外と暇なのかな?
「褒美って、どんなものがあるのですか?」
「お金だったり、魔法だったりざます」
「お金もあるんですか!?」
「あるざます。配信者にも生活があるからざます」
「そうですか」
そこは配慮してくれるんだな。
「そもそもなぜ『
「宇宙人が動画配信で攻めてきているからざます」
「えっ!? それに対抗するため、こちらも動画配信をするわけですか!?」
「その通りざます! これは配信バトルざます!!」
「配信バトル!? それはなんですか!?」
「ノリと勢いで適当なことを言っただけざます!!」
「えええええっ!?」
ただ言っただけなのかよ!?
「では、どうやって宇宙人を止めるんですか!?」
「クバリの方が人気になれば良いざます! 宇宙人の配信を見なければ、ブヒャウマにはならないざます!」
「な、なるほど……」
俺にやれるのかな?
「私は魔法使いなったのですよね?」
「なっているざますよ」
「どんな魔法を使えるのですか?」
「それを知りたいなら『ステータスオープン』と言ってみるざます」
「ええ…… なんでですか?」
「良いから言うざます!」
「分かりましたよ…… ス、ステータスオープン……」
「声が小さいざます!」
「ス、ステータスオープン!」
「まだ小さいざます! それに、気合と夢と希望と根性と熱血が足りないざます!!」
「なんですか、それ!?」
「とにかく、もっと感情を込めて言うざます!!」
「ステータスオープンッ!!!!!」
「まだまだ、もう一回ざます!!」
「ステェェェェェタァスッオォォォォォップゥゥゥンッ!!!!!!」
「ふむ、なかなか良かったざますよ」
「そ、それはどうも…… って、魔法の方はどうなったんですか!?」
「ああ、それなら、どんな魔法を使えるのかを知りたいと思うと、頭に浮かぶようになっているざますよ」
「なら、なんのためにステータスオープンと言わせたんですか!?」
「なんとなくざます!」
「なんとなく!?」
なんだよ、それは!?
言い損じゃないか!?
「もしクバリが人気になったら、このステータスオープンボイスを販売するざます」
「なんでそんなことを!?」
「面白そうだからざます!」
「恥ずかしいから、やめてくださいよぉ……」
「エンターテイナーが、この程度で動じてはいけないざます! 売れたら報酬を払うから安心するざます!」
「そんなの売れるんですか!?」
「可能性はあるざます」
そんなのなさそうだけどなぁ。
「そんなことよりも、魔法を確認してみるざます」
「はいはい、分かりましたよ」
俺はどんな魔法を使えるのか知りたいと思った。
すると突然、このふたつが頭に浮かんだ。
どんな魔法かは内緒。
使い方は『イノセント生筋肉一丁、
「内緒なんですか!?」
「そうざますよ! 使ってみてのお楽しみざます!」
「なんでそんなことするんですか!?」
「サプライズざます!」
「えええええっ!?」
なんでそこを隠すんだよ!?
「それと、なんですか、あの魔法の使い方は!? イノセント生筋肉って、なんなんですか!?」
「そんなのノリと勢いで適当に決めただけに決まっているざます!」
「またそれですか!?」
「細かいことは気にするなざます! さあ、クバリ、気合を入れて叫ぶざます!!」
「え~、また叫ぶんですか?」
「さっさとやれざます!」
「分かりましたよ…… ええと、イノセント生筋肉一丁、
「声が小さいざます! 根気と勇気と愛とやる気と闘魂も足りないざます! もう一回ざます!!」
「イノセント生筋肉いっちょぉぉぉっ!!!
そう叫び終えた直後、体から何かが抜け出たような気がした。
「成功ざますよ! 後ろを見るざます!」
「えっ!?」
俺は後ろを振り向いた。
そこには、このような姿の変態がいた。
赤い金魚の
高身長、筋骨隆々な男性体型。
小麦色の肌。
無駄毛がまったく生えていない。
全身がテカっている。
な、なんだあいつは!?
まさかあいつが魔法なのか!?
「イノセント生筋肉、
魔法で出て来たと思われる変態がそう言った。
「いきなり何言ってんだよ!?」
「決めゼリフでごわす!!」
「ええっ!?」
それが決めゼリフなのかよ!?
「あなたがアニキでごわすね?」
「アニキ!? どういうことだよ!?」
「自分さんを魔法で出した人のことでごわすよ」
「ああ、そういうことなのか。確かにそうだよ」
「やはりでごわすか! では、自己紹介をさせてもらうでごわす! 自分さんの名前は『ハイテー・クオンチィ』でごわす!」
ハイテク音痴?
「『ハイテー』と呼んで欲しいでごわす! アニキ、よろしくでごわす!!」
「あ、ああ、よろしくな、ハイテー。俺は
「では、クバリのアニキと呼ばせてもらうでごわす!」
「分かったよ」
どうやら悪いヤツではないみたいだ。
問題は、こいつに何ができるのかということだな。
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