第18話 カモノハシパークにてランチ

 朝ごはんのサーモンサンドにたっぷり入っていたクリームチーズも美味しかったが、土産物屋さんで頂いてバスの中で食すチーズもとても美味しかった。

「オーストラリアのチーズ美味しいね」

「オカンもそう思った?わたしも今、そう言おうと思っててん」


 親子で喜んで食べ終わったくらいで、陽気なクリスさんが、

「次は、カモノハシパークでランチです」

と仰った

「え、うそやろ、今ランチって言った?」

 結構食べることが好きな親子だが、流石にそれほどお腹は、すいていない。

クリスさんは、滔々とカモノハシパークの説明と今の時期は、カモノハシにあまり出会えないので、出会えたらめちゃくちゃラッキーぐらいに思ってね。ごめんね。

みたいなことを仰ってたようだが、コドオの頭の中は、もうランチ。

ということでいっぱいだったらしい。

 オカンにいたっては、後でコドオに教えてもらうまで、クリスさん仰る『プラティパス=カモノハシ』自体が分かっておらず、何で謝ってはんの?くらいだった。


 地面の湿った公園というよりは、森と池みたいなところに小さなお家の大きな屋根つきテラスという感じの開放感溢れるレストランがあって、長いテーブルの上には、全員分のランチがすでに用意されていた。

テーブルは、一つ。このツアー貸し切りのようだ。

 そこまで大きくないプレートにスライスターキーの乗ったベビーリーフのサラダ、一口大のお肉を串に刺したもの、小ぶりのパイ、半分に割ったクレイフィッシュが盛られていた。

「うん。この量なら大丈夫。しかも美味しそう」

コドオと顔を見合わせ、にんまりと頷く。

さっきの驚きは、何処かへ消えたようだ。


ランチの内容の説明をスタッフさんがしてくれる。

それを、周りの席の皆さんがゆっくりと分かりやすく教えてくれる。

どうやら一口大の串刺しお肉は、カンガルーのお肉で、パイの中身は、ワニ肉らしい。

『とっても美味しいから、食べてごらんなさい』

私達親子以外のツアーの皆さんが保護者化してしまっている。

なんて、良い人達なんだ。


その後、クリスさんが飲み物をビールにするかジュースにするか聞いてくれる。

もちろんビールを選んだ。


 余談だが、海外では、『ビール』というと解ってもらえなくて違う物が出てくる。

オカンは、それが嫌で、『ビア』の発音には、ちょっと自信がある。

 以前一緒にベトナムへ行った友人はとても頑固で、何度も『ビア』っていわなきゃだめだよ。

って言ってるのに『ビール』と言って、飛行機のなかで2回も牛乳を受け取っていた。

ベトナムでは、牛肉も牛乳も全て『ボー』で、どうも日本人の『ビール』はそう聞こえるらしい。


お店のスタッフさんに交じって、クリスさんが地元のビールを持ってきてくれた。

美味しい。

でもグラスがちっこいな。

と残念がっていると、今度は次から次へとライチだのベリーだの飲んだことのないフルーツワインを運んでくれる。

その都度量も聞いてくれるので、一口ずつ全種類5.6口は飲んだ。


あまりにも種類が多すぎて、どれも美味しかったはずだが、どのワインが一番好きかと、もし聞かれたら親子そろって記憶にない。

本当に残念な二人だ。

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