第15話 バリン湖国立公園とヘリテージ・ハウスにて朝食
羽田から飛行機で八時間。待ちに待った朝ごはんである。
湖のほとり木造の大きなレストラン。外国映画で観た風景だ。
クリスさんが、参加者のメニュー表を見ながら座席を指定していってくれる。
余裕で16人は座れるような大きなテーブルを、クリスさんも含めて10人ほどで囲んだ。
残念ながら窓際ではなかったが、景色は後のお楽しみにとっておいて、食事に専念することにした。
ここの朝食メニューだけは、事前に『ベルトラ』の日本語スタッフさんではなく、現地スタッフさんから英文でコドオにメールが届いていた。
エッグベネディクト、サーモンサンド、チキンサンド、ビーガン用サンドなどから選び、返信するシステムになっていた。
本当は、二人ともエッグベネディクトが好きなのだが、所要時間をイマイチ理解出来ていなかったので、すぐに食べられるサーモンサンドを選んだ。
もちろん、二人別々でも良かったのだが、何となく同じメニューになった。
飲み物も選べた。
コーヒー、紅茶、ホットチョコレート、などの選択肢があったが、コドオが
「オカン、わたし飲み物は、フラット・ホワイトにするけど、オカンは、どうする?」
と、聞いてくれた。
「フラット・ホワイトってどんなん?」
「エスプレッソをミルクで割ったやつやで。美味しいよ。
オカンがいつも飲んでるカフェラテに似てるわ。」
「ほな、私もそれにするわ」
てなやりとりが日本であってのヘリテージ・ハウスである。
席に座って待っていると、ウェイトレスさんがテキパキとナイフとフォークを紙ナプキンで巻いたものや料理の皿と飲み物を運んでくれる。
私達のサーモンサンドは、想像していたものとは違っていた。
大きな楕円形のパンを6枚切りくらいの厚さにカットしてトーストしたものに、たっぷりのベビーリーフとサーモン。その上にまるでアイスクリームのようにこんもりとスライス玉ねぎを混ぜ込んだクリームチーズが乗って、これ、サンドウィッチなんだよ。って忘れられないように、もう一枚のトーストされたパンが乗っかっていた。
サンドウィッチって主張したくせに、具が多すぎて挟めてない。
どうやら、ナイフとフォークで食べるらしい。
おお!と、目の前の美味しそうなものを観察していると、コドオお勧めフラット・ホワイトが運ばれてきた。
カフェで注文したもののように、フォームミルクにハートが描かれている。
嬉しい。美味しい。
周りを見回す。
ホットチョコレートを注文していた、アイムストーカーマダムが、スプーンの上のちいさなマシュマロを慎重にカップに入れ、かき混ぜたスプーンを口に入れた。
その向かいのコーヒーを注文していたマダムもだ。
オカンがこどもの頃は、コーヒーや紅茶を混ぜたスプーンは、舐めたらだめ。
と教わったが、海外では違うらしい。
さあ、サンドウィッチと格闘だ。
もう一度周りを見回す。
どうやら皆さん。上にかぶせてあるトーストを適当に切って、その上に具材を乗せ、下敷きになっているパンは、残している模様。
そういえば、口コミにもずっと食べ続けているツアーだから、適当に食べないとしんどい。と書いてあった。
ジュワッとバターがしみ込んだ下のパン、切りにくいんだよね。
紙ナフキンじゃ全然対応できない。このナフキンちょっと匂うし。
バッグからウエットティッシュを出す。持ってきてよかった。
オカン食い意地全開完食の間、日本人は、私達親子だけだったので、クリスさんや同じテーブルの皆さんから、お気遣いのある質問をいろいろと受けたが、ほとんどコドオに任せた。
高い留学費用は無駄じゃなかったね。コドオ。
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