第13話 ついにケアンズへ
ケアンズの空港についた。こじんまりしているな。という印象。
けれど観光地の空港だからか、日本からの到着便直後だからか、手荷物検査のところにも、日本語を話せるスタッフさんがいてくださってとても楽だった。
すんなりと(コドオ任せで)入国手続きが済んだので、ロビーの所で少し休憩してから、ターミナルから出て、ベルトラで申し込んだ『アサートン高原ツアー』のお迎えのバスを待つことにした。
ドアを開けると、日焼け防止用に用意していた長袖を着ててもちょっとはだ寒い。
事前のネット情報だと私達の行った時期は、昼間26度前後、夜間19度前後とのことだったが、台風の影響のようだ。
空港の隅の方でバカンス用のノースリーブに着替えておられた若い4人組のお嬢さんたちもターミナルのドアを開けて
「寒ーい!話違うやん!」
と叫んでおられた。ふふ、可愛いな。と口に出したのは、コドオではなくオカンの方である。
「コドさんバスまだか?ホンマに空港に来てくれはるねんな?」
お迎えのバスの正確な時間も知ろうとしないくせに、駄々っ子のようにコドオに尋ねるオカンであった。
「まだや。ホンマに待つことしらんな」
予定時間を5分ほど遅れたらしいが、(コドオ曰く海外で5分遅れは、きっちり到着ということらしい)小型のバスが二人の前に泊まり、カウボーイハットを被った、バットマンに出てくる若いころの所長さんに似た、とても感じの良いガイド兼ドライバーの男性が降りてきて、にこやかにこちらに近づいてきた。
彼は、クリスさんという方で、名前の確認と自己紹介をすると、コドオにヒルトンホテルに私たちの荷物を置きに立ち寄ってくれることを説明し、私のスーツケースを受け取りバスに乗ることを促した。
バスの中には、3組ほどのオカン世代のご夫婦らしきカップルがいらっしゃった。
これは、挨拶せねば。入口で大きな声で
「グッドモーニング。ナイストゥミーチュウ」
というと。ちょっと困惑した空気が流れた。あら、しょっぱなからやらかした?
それでも、座席に行こうとすると、女性陣がにこやかに
「ハーイ」
と声をかけてくれる。
そうか、こういう場面では
「ハーイ」
でいいんだ。オカン赤面。でも、大人だからここは、笑ってごまかす。
自分のスーツケースを積んだコドオが後から乗り込んでくる。
「ハーイ」
と軽やかだ。
事の顛末を訴えると
「ええやん。別に。伝わってんから。まぁ普通は、こういうときは『ハーイ』か『ハロー』やな」
先に教えといてくれ。コドオよ。
「スーツケースやっぱり持って回るのはアカンからヒルトン寄ってくれる。っていってはったな」
と乗車前のクリスさんの説明をコドオが通訳してくれる。
「うん。ドロップって言ってはったからそうやと思ったわ」
「わたし、スーツケース二つ持って預けてくるから、オカンは、ここおんねんで」
「一人で大丈夫か?」
「オカンよりましやと思う」
確かに足をひっぱりそうな気がしてきた。
その後数組の参加者が乗り込み、その方たちのホテルを回る合間に、私たちの宿泊するヒルトンホテルに立ち寄ってくれた。
「行ってくるわ」
とコドオ。スーツケースを降ろすついでにクリスさんも私のスーツケースを持ってホテルに入ってくれて、おそらく手続きをしているであろうコドオだけを残して、先に帰ってきた。
なかなか帰ってこないコドオを心配して、今にもバスを降りようとするオカンに
クリスさんが
「なにか必要書類とかで行かなければいけない理由があるか?」
みたいなことを聞いてくれる。
こどもの様に首を振るオカンに
「そしたら、コドオを信じてここで待ってなさい」
と諭される。
危なっかしいのか何度も優しく
「ステイ ヒア」
と言われた。縦に首を振って大人しく座っていた。
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