第11話 オカン羽田の広さに驚く

羽田についた。めちゃ広い。

国際線に乗るには、第3ターミナル行きのバスに乗る。

「ウイングシャトルのある関空の勝ちやな」

「いや、規模とか違うからちゃう」

確かにバスに乗ってからの距離に驚く。


 まずは、混雑前に旅行保険に入ろうというコドオの後ろについて窓口を目指した。

途中、左側の両替所の前を通った時、凄く並んでいる人達を目で示し、

「ほら、ここの両替所凄い人数やろ」

とコドオが、どや顔でいう

「ほんまやね」

日本人だけではなく国際色豊かな人達が並んでいる。

伊丹空港で両替するといったコドオが正しいことが立証された。

 右側にもたくさんの人達がいて、公衆の面前で映画のワンシーンのように外国人の男女がぶちゅーと音が聞こえそうなラブシーンの真っ最中だった。

「お子さん見たらアカンもんが」

「そんなん、ここでは日常茶飯事やで。気にしたらあかん」

コドオいつからそんな大人に。


 二人分の旅行保険に無事加入。受け取り人は、当然全額オトンである。

「オトン先週帰ってきたやろ。最初は仕事で帰られへん。っていっててんで」

「え、そうやったん」

「せやけど、その前電話した時に、やっぱ海外旅行やからもしもって時があったらあかんから、って私が言ったんがなんかやっぱり気になったみたい」

「まぁ、二人分の旅行保険金があったら無事老後過ごせるやろ」

「それも言ったら、コドオと私にもしものことがあったら、早めにぼけて全部忘れるからお金いらん。っていうねん」

「オトンらしいな」

 二人で少しだけメランコリックになったが、4階に行こうと人混みを一所懸命抜けているうちに忘れた。


「コドさん、私ソーイングセットとボールペン忘れたから買いたいねん」

「わかった。ほな、そういうお店にオカンを連れて行って、オカンが買い物している間にご飯食べる店探しとくわ」

 ヴァージンオーストラリア航空のエコノミーを申し込んでいたので、お安い分機内食は有料とのこと。晩ご飯は、羽田ですませる予定だった。

「そうしてくれる?」

「うん」

 ソーイングセットは、すぐに見つかったが、ボールペンはなかった。

お店の人に尋ねると、親切に2階の同じビックカメラ店にあると教えてくれた。

店をでるとコドオが待ってくれていて

「レストラン街もの凄い人でな、テイクアウトでええもん見つけてん」

という。

ついて行くと、本当に美味しそうなおにぎり屋さんだった。

そして、そこも行列だった。

コドオに並んでいてもらって、ボールペンを買いにいった。

 2階のビックカメラでも店員さんは、とても親切だし、空港内だからお高いのかと思っていたが、そういったこともなかった。

良かった。と思ってなんだか騒がしい方を見ると、他国のCAさんたちがキャピキャピと美容液たっぷりのマスクの品定めをしていた。

なんか日本製品が評価されていて嬉しかった。

そして我に返り、あ、早く行かないとコドオに叱られる。とさっき乗ったエレベーターに向かった。


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