第七頁
頭が痛い。最近、そう感じることが増えた。
検査の方は、順調に進んでいるようだった。
今のところ、脳の方にはあまり変化がないらしい。先生は「やっぱり」と言っていたから、これまでの人たちもきっと、そんな感じだったんだろう。
だというのに、困らないくらいにはお金がもらえるみたいだから、何と言うか不思議な話だと思う。
カウンセリングの先生は、親身に話を聞いてくれていると思う。
頭痛に関して相談したら、「今は色々大変な時期で、負荷がかかっているから、そのうちにきっとよくなるよ」と言われた。
それから最後には笑顔で、「大丈夫、ゆっくり思い出していけばいいからね」と言ってくれる。
きっとありがたい言葉なんだと思うけど――思い出すものが、ない、とわかっている私には、どうやって答えたらいいかわからない。
退院の日取りが、もう少しで決まりそうだ、と言われた。
それまでに、今は休学扱いになっているらしい大学のこととか、暮らしのこととか、そういったことをどうするのか、決めておかなくちゃいけない。
だから今はノートを、と思うのだけれど。
そう思えば思うほど、とあるページより先に読み進めることが、どうしてもできないでいる。
頭痛が酷い。諦めて私はベッドに倒れ込む。
今夜もまた、眠れない夜になりそうな気がする。
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