第6話 底辺には絶対負けない

あんな洗脳された夜莉に会うつもりは初めからなかった。


あの子とは会ってから一度もお互いに口をきいたことがなかった。


いわゆる『不仲』という理由で夜莉が脱退していった。


「ねぇ、」

「何」


「アイドルについて考えてきたけど、」

「『アーティストデビュー』しようよ」


「アーティスト?アイドルと何が違うわけ」


「アイドルは底辺グループだと可愛さとか媚び売ってるけど、」


「アーティストは音楽に関係する感じ。」


「だから、アーティストデビューすればライブをすることにも辻褄が合う。」



「……今の私たちに好都合、ってこと?」



「そーいうこと」

「ネットでまた騒動起こしてる奴いるけど、底辺に負けたくなくない?」


「だから、アーティストデビュー、しようよ」

「上手くいけば高収入。」


「私たちを救うためにアーティストデビューっていう手があると言っても過言じゃないよ」


「やってみよ?」


「……うん」

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