第5話 先越されて、

「あ、ユメじゃん」

「夜莉……」


「僕が脱退してからずっと会ってないね」


「大手グループ行かせていただきましたよ」

「先越しちゃってごめんね~笑」


夜莉はWHITEの元メンバー。

あっちのほうがWHITEよりも伸びている。



夜莉は私にとって非常に苦手なタイプだった。



可愛い子ぶってて気持ち悪くて、

自分も同じことをしてきたことと同じなのに、

見るたび吐き気がするようになっていた。


「所詮メンバーなんて生き別れの兄弟みたいな状態だもんね~」


「自分のグループから抜けたメンバーが有名人になっちゃってごめん笑」


「申し訳ないわ~笑」

「そっちファンミーティングやるんでしょ?」


「こっちは1ヶ月に一度はイベントあるからさ」

「忙しいんだよね」


「配信とかやる暇ないんだわ」

「うるさいな」


「関係ないこと言わなくていいじゃん」

「意地張らなくていいから〜」



「”所詮アイドルグループ”ってこんなもん」



「アイドルグループじゃないってば……」

「いつまでそれ言い続けてんの?」


「配信者やめろって」

「ぶっちゃけこっちのほうが稼げる」


「こっち来れば?」

「……」


「逃げんな、!」

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