第5話 レオ連合の野望! 地獄のタワーで戦いましょう!

 私達は車に乗って、旅を続けていた。

 山岳地帯でも進める様に、タイヤを改造してみた。

 ナビによれば、山に囲まれた村がある様だ。

 今夜はそこに止めてもらおう。もう野宿は沢山だ。


 幸い機関銃も屋根に装備している事だし、敵が出ても大丈夫だ。

 山岳地帯を下りながら、私達は次の町を目指した。


「うぉ!」


 ケイがキューブレーキを踏んだ。

 私達は前に投げ飛ばされそうになる。


「お嬢様。目の前に少女が飛び出してきました」

「ふむ。第一村人かもしれません。私が直に話しますわ」


 私は車から出て、少女の前に出た。

 少女は腰を抜かして、動けないようだ。

 私は手を差し伸べて、少女を起こした。


「旅のお方ですか?」

「ええ。この先の町によろうと思っているの」

「来ては駄目です! 今町はレオ連合に……」


 そこへ草むらがかぎ分けられる音がした。

 金属の音が聞こえる事から、どうやら鎧を着た数名が近づいている。

 私は少女を後ろに回して、庇った。


「お嬢さん。出て来なさい。じゃないとお婆さんを殺しちゃうよ?」


 鎧を着た兵士の様な人物が、姿を現した。

 衛兵なのだろうか? 武器を構えて少女を探し回っている。


「何アイツら?」


 私は身を隠しながら、少女に事情を確かめた。


「レオ連合軍です……。私達は奴らに、家族を人質に取られて……」


 少女の話を纏めると、国はレオ連合と言う名前だそうだ。

 6人の貴族とそれを取りまとめる、1人の盟主が国を率いている。

 彼らは7人衆と呼ばれ、国の全てを決定しているようだ。

 だが現盟主達は民に圧制を強いり、苦しませているのだと言う。


「奴らは霊珠石と呼ばれる物を探しているようです」


 彼女も町の人も、それが何なのか知らないようだ。


「奴らは人質を盾に、私達に捜索を強要しています」


 女子供関係なし。ジェンダーレスで、重労働をさせているようだ。

 彼女は過酷な労働に耐えきれず、逃げ出したようだった。

 もし見つかれば自分も、家族も殺されるだろう。


「大丈夫よ。ここに隠れて居れば見つからないわ」


 私は少女を匿う事にした。


「お嬢様……。体隠して車隠さずです!」

「仕方ない。800mm荷電粒子砲を使う」


 ケイは車を操って、前方に着いた砲台にエネルギ―を集める。

 黄色い粒が集まり、巨大な光となっていく。


「おい! 何だあの光は!?」


 兵士達が荷電粒子砲に気が付き、こちらに近づいた。 

 足音だけが聞こえてくる。


「貴様ら使い捨ては、姿を描写する尺がない!」


 ケイは姿が見えない兵士に向かって、光線を放った。

 荷電粒子砲は兵士達の足元に直撃したのか、爆発が発生した。

 悲鳴と共に兵士達が吹き飛ぶ姿が、遠目に見える。


「こんな奴らを野放しに出来ないわ」


 宝珠石が何なのか知らないけど。

 人質を取るような奴らだ。きっとろくな事に使わないだろう。

 

「連合を倒し、我が領土にしてくれるわ!」

「それが本音ですか!?」

「安心して。私達が、村からレオ連合を追い払ってあげる」


 私は少女の肩を掴みながら、優しい声色を出した。

 少女は先ほどの光線を見て、呆然としている。


「敵の基地を教えて頂戴。直ぐに皆を助け出してみせるわ!」

「分かりました……。旅人さん。お気をつけて下さい……」


──────────────────────────────


 レオ連合山岳町支部のアジト。

 それは5階建てのタワーで、構成されている。

 指揮を執っているのは、連合7人衆の1人。ベニレオだそうだ。

 私達が村に辿り着くと、見張りの兵士が村人達に圧制を敷いていた。

 

 疲労で倒れる村人に、鞭を振るい無理矢理立たせる。

 休憩も挟ませず、捜索を続けさせているようだ。


「まずは恐怖を与えて、兵士の注目を集めましょう」


 私はエネルギー精製を使い、空から光線を降らせた。

 誰もいない所に着弾し、周囲に煙を発生させる。

 思った通り兵士達は光線が着弾した箇所に、気が執られている。


「今よ! 突撃開始!」


 ケイはアクセルを踏み込んだ。

 集まった兵士に向かって、車を突進させる。


「おい! 何だあれは!? ぎゃあ!」


 私は機関銃を発砲しながら、兵士達を攻撃した。

 逃げ惑う兵士を追い回しながら、村から追い払う。

 敵がタワーまで撤退し始めたのを確認する。

 そのまま車をタワーに向けて、アクセル全開。


「お嬢様! まさかこのままタワーに突っ込む気じゃ……」

「そのまさかよ!」


 私はドリルを精製し、ケイが車の先端にくっつけた。

 兵士達を追い回しながら、タワーに向かって突撃。

 分厚い壁を粉砕して、私達はタワーの中に侵入した。


「全員武器を捨てて降伏しなさい! 投稿すれば命までとらない!」


 内部の兵士達は突然の襲撃に、怯えていた。

 数名が武器を捨てようと、両手を上に上げる。


「テメェら! 内部をよく見てみろ! ガキばかりじゃないか!」


 集団のボス格っぽい、モヒカンの男が周囲を絞める。

 刀の鞘で肩を叩きながら、椅子に座っていた。

 私達の襲撃にももの応じない。大した奴である。


「貴様ら。天下のレオ連合に喧嘩を売って、タダで済むと思うなよ」


 モヒカンは立ち上がりながら、鞘を抜いた。

 剣を構えて、刃先を私達に向ける。


「切り刻んでやるぜぇ! ひゃひゃひゃ!」


 残虐そうな男ね。私は構わず機関銃を発砲した。

 するとモヒカンは、刀で全ての銃弾を切り裂く。


「なんですって!?」

「ぬるい……。この程度で、我が刃を折れるとでも思ったかぁ!」


 くっ……。銃弾が利かないなんて……。

 私達はメインウェポンが、通用しないも同然だ。


「ならばこれを喰らいなさい! 必殺! ドリル発射!」


 私は車前方に接着した、ドリルを切り離した。

 ドリルは炎を噴射しながら、モヒカンに飛んでいく。


「ふん! こんなもの! 我が刃で!」


 モヒカンはヒョイッと体を傾けて、ドリルを回避した。


「避ければおしまいだ!」

「刃関係ない!」


 参ったわね……。隠し玉まで通用しないとは。

 どうすればこの男を、倒す事が出来るのかしら。


「言っておくが、我が北七正流はこの程度ではないぞ」

「なに!? 貴様は北七正流の使いてなのか!?」


 フォルが剣を構えながら、車から出た。

 バトルマニアの間では、有名な流派らしい。


「刀を使う剣技としては、最強の流派と呼ばれている技です」

「良く知っているな。俺はその中で最も閃光剣が得意とされた男だ」

「閃光剣……! 電光石火の如き速さで切り抜くあの技か!」


 モヒカンは紫色のオーラを纏い始めた。

 

「冥途の土産だ。見せてやる。我が奥義。閃光剣の力をな!」


 モヒカンは刀を掲げて、力を込めた。

 奥義を放つ構えをしているようだった。


「今だ! 雷を喰らえ!」


 ケイは魔法を使って、雷をタワー内に発生させた。

 高く掲げられた刀に向かって、雷は引き付けられるように落下する。


「ぎゃああ!」

「電光石火が、雷光に負けちゃったぁ!」

「剣を離した! 今がチャンスよ!」


 私は手元のスイッチを押した。

 背後で空振りに終わったドリルが、爆発を発生させる。

 そのまま麻痺して無抵抗のモヒカンを、こちら側まで吹き飛ばした。


「刀落としたの関係ない不意打ち!」

「物体精製! プレデターロケット!」


 私は1度に複数をロックオンできる、ロケットランチャーを精製した。

 モヒカンと部方達に狙いを定めて、ミサイルを発射。


「ぎゃあ! 俺ら何もしてないのに!」


 部下達は全員倒したが、モヒカンはまだ立ち上がっていた。

 

「貴様ら……。この俺と流派をコケにして……」

「刀のない貴方など、怖くないわ!」


 車を前進させて、モヒカンを引き飛ばす。

 モヒカンはくるくる回りながら、壁に叩きつけられた。


「物体精製! 磯野家エンディングの家!」


 私は玄関前に階段がある家を、精製した。

 7人のシルエットが、モヒカンを巻き込む。

 そのまま家を揺らしながら、全員中に入っていった。


「来週もまた見てくださいね。じゃんけんポン!」


 私は拳を握って、前に差し出した。

 家の内部に入ったモヒカンは、困惑して何も出さない。


「貴様は刀キャラだからチョキじゃい!」


 家は上空に向かって、浮かび始めた。

 地下から猫が飛び出して、体を揺らしながら家を支えている。


「負けたから罰ゲーム! グーパンチよ!」


 私は巨大な拳を出して、家に向かって飛ばした。

 

「おのれ……。こうなったら北七正流奥義! いっせいのうせ! 0!」


 モヒカンは親指を突き立てながら、拳に対抗した。


「しまった! いつも癖で、突き立ててしまった!」


 拳は家を貫通して、モヒカンの腹部に直撃。

 モヒカンはの窓から飛び出して、壁に叩きつけられた。

 その後猫がモヒカンに向かって、家を投げつける。

 モヒカンの傍まで近づくと、家は爆発した。


「やっぱり爆発で解決ぅ!」


 モヒカンは私達の側まで、吹き飛ばされた。

 仰向けになりながら、口から血を吐き出す。


「ククク……。俺を倒したくらいで、いい気になるなよ……」

「負け惜しみかしら?」

「このタワーにはな、1階ずつベニレオ隊幹部が待ち受けている。俺はその中で一番の雑魚だ」


 1番下で待ち受けていたなら、1番弱いでしょうね。

 私はお決まりの展開に、溜息を吐いた。


「先に地獄で待っているぜ……」


 モヒカンはその言葉を言い残して、気絶した。

 この先にはもっと強い奴らが……。


「上階へ行きましょう。どんな敵が相手でも、私達なら勝てる」


 そうだ。例え敵の幹部が強くても、仲間と力を合わせれば。

 どんな敵にだって、絶対に勝てる!


「……。戦っているのニーナ様と、ケイさんだけなんですが……」

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