【第3章概要】

 土曜日の朝。

岡野 衛おかの まもる』は『黒瀬 奈月くろせ なつき』からの唐突に電話で叩き起こされ、映画に誘われる。

 不審に思いつつも特に断る理由も思いつかず待ち合わせの場所に辿り着いた衛は、そこで女性的な装いに身を包んだ奈月に見惚れてしまった。

 曰く『梓と映画を見に行くための予習』であり『この前に庇ってもらったお礼』とのことで、ついでに衛もデートの予行演習をしておけと笑われた。

 からかわれていると思いつつも、日ごろとは比較にならないレベルで猫かぶりもとい『女のふり』をする奈月の手を取ると心臓が不規則な鼓動を打ってしまう衛。

 エスコートして、映画を見て、暗闇で触れ合う奈月の手にドキドキして。

 そして――喫茶店でじゃれているところを『春日井 梓かすがい あずさ』に見られた。

 なお、梓は衛の想い人であり、奈月の恋人である。


『た の し そ う ね』


 真冬のブリザードを思わせる眼差しに慄くバカふたり。

 ガラスの窓越しに呟いて雑踏に姿を消した梓を追うことはできなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る