第36話 休憩回
出てこないなあと思いつつ、パソコンの画面をスクロールした。
「やっぱりだめか…」
ごく小さなビーズが連ねられ、親指の先ほどの大きさを持つ――赤い宝石?のようなものが装飾として使われているネックレス。それの意味も、正体も、よくわからなかった。
「絶対あんな意味深なやつが意味深な場面で残してく代物じゃないよな…」
そう思って、前にも幾度か調べてはみたものの、まったく見つからない。ネットが駄目なら図書館だろうか。ダンジョン関連の本棚にあるかもしれない。ドロップ品の本なら載っているか。
そこである広告に目をひかれた。
『一泊二日の体験型ツアー!あなたもモンスタージビエを楽しんでみませんか?』
なんとなく、それをクリックした。なんとなくというほどでもないような理由がある気がするが、まぁ些事だろう。
「えっと…価格は結構安いな。冒険者資格アリだと狩猟体験可能、無しでも採集体験可能……」
とりあえず、読み上げた。こういうのは読み間違えると後で痛い目を見るに決まっているのだ。まれに声を出す癖がある。
調べていくうちに、まぁまぁお手頃な価格で狩猟・採集を行うツアーらしかった。
ネールボア、それからホワイトベアーなどが運しだいで見られるらしい。そこそこ希少だから運しだいなのは仕方ないか。
それから、自然の中での体験という目的はあるものの、面倒な手間は避けたいという理由なのか…そもそも目的が体験だからなのか、宿泊形式はグランピングのコテージタイプだった。なんだそれ。
個人的にはテントで寝泊まりするのは結構楽しいと思うんだけどな。というか、野宿とか野営に慣れている方だ。
冒険者には一々そんな施設は必要ないし、そもそも施設なんてない場所で戦わなくてはいけないし、戦闘が長期になるとひと月ふた月など、途中で補給をはさむような期間になる場合もある。
だから大抵、金もないし自分で寝床くらいは作れるようにならざるを得ない。
…ただ、このツアーも一考の余地はあるか。
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