トレーニング4「さあ、上腕三角筋、笑って笑って~!」

「トレーニングも半分を過ぎましたネ! プリクラースナ! すばらしい状況です!」


「今日は腕と胸を鍛えるトレーニングを行いたいと思います!」


「えっ? そういえば、マシンを使ったトレーニングは行わないのかって?」


「普通のスポーツジムはプレスマシンやランニングマシンがありますもんネ」


「ワタシのジムでは、いつでも・どこでも・だれでも出来る、がモットーなんです。マシンを使ったトレーニングはもちろん効果がでますが家で同じ環境でトレーニングすることはむずかしいです」


「みなさん、お仕事や家事の合間に時間を作ってうちのジムに来てくれます。とてもうれしいです。でも、無理はしてほしくないんです」


「うちに来なくても出来るトレーニングだったらみんな無理しなくて済むんじゃないかと思ってこのジムを始めました」


「ヘン、ですかネ……? 家で出来たらジムなんていらないじゃないかって……? それもそうですネ」


「……はぁ。やっぱりワタシがこんなんだから、うちのジム、閉店になっちゃうのかな」


「あっ! ええと、い、今のは忘れてください!!」


「ささっ、今日のトレーニングをはじめましょう!」



*********************



「まずは腕の筋肉を鍛えるトレーニングからです!」


「360℃どこから見てもすっきりした腕を作るには上腕三角筋を鍛えるのが効果的です」


「上腕三角筋は、二の腕部分のある、腕の筋肉の中で一番大きな筋肉です。大きな筋肉を育てると痩せやすくなる、というのは覚えていますか?」


「もちろん? さすがですネ! 上腕三角筋は鍛えれば鍛えるほど見た目の変化も感じられやすい筋肉です! 続けて行けばムキムキの太い二の腕も夢ではありません! 思わず自撮りしたくなっちゃいますヨ!」


「上腕三角筋を鍛えるメニューは"ナローアップ"、腕立て伏せが最もポピュラーなメニューですが、もっと効果でる三角ナローアップを教えちゃいますネ!」


「まずうつぶせになってくださいネ。両手を床について身体を起こします。その時に両手の親指と人差し指で三角の形を作ってください。そうそう! お上手です!」


「体が一直線になるように意識してくださいネ! このポーズから胸を三角にした手にくっつく位置まで下ろします」


「う、うでがぷるぷるしてる……! がんばって! 上腕三角筋がうれしくて笑ってると思ってください!」


「下ろしたところで一秒キープ、そこからゆっくり元の位置に戻ってください」


「まずは1セット5回を目指してみましょう! いきますよー。さあ、上腕三角筋、笑って笑って~!」



*********************



「お疲れ様でした! ゆっくり身体を起こしてくださいネ」


「初めてなのに5回連続で出来ましたネ! 肩甲骨もしっかり寄せて動けていましたヨ! さすがです!」


「結構キツかった? 腕の筋肉がないからだって? そんなことありません! 伸びしろがあるって証拠です!」


「三角ナローアップは胸の筋肉も同時に鍛えられるメニューですから数回でも継続してやれば見た目の変化も早く表れますヨ!」


「無理のない回数で一緒にやっていきましょうネ」


「次は、くの字プッシュアップをお教えます!」


「お手本を見せますネ。まずはさっきと同じようにうつぶせになってください。両手を肩幅ぐらいに広げてくの字になるように腰を上へとあげてください」


「そうです! きれいなくの字! ハナマルあげちゃいます!」


「その状態から上体を前方に反らして、すくい上げるように体を押し上げます」


「軌道に沿わせるようにそのまま最初の姿勢に戻ります! はい、おかえりなさ~い!」


「これなら出来そうって? 良かった! これはもも裏やふくらはぎの裏を伸ばすストレッチ効果もあってとっても気持ちのいいトレーニングです!」


「これも1セット5回。慣れたら10回を目指しましょう!」


「次は胸の筋肉を鍛えるトレーニングです!」


「これはダンベルを使って行うメニューですが、もし家になければお水の入ったペットボトルで代用することも出来ます」


「まずベンチに仰向けになってください。そして、両手にダンベルを持ちます。はい、どーぞ」


「腕を真っすぐ伸ばしながら、腕を天井に向けて伸ばします。胸の筋肉を意識しながらダンベルが向かい合うような位置でキープしてください」


「胸をはりながら腕を下ろしていきましょう。下まで来たら、肩甲骨を寄せるような形で肘を軽く引いてください」


「そうそう、上手です! 胸の筋肉をはることを意識しながら行うのがポイントです!」


「1セット10回。出来るようになったら3セットやってみましょう!」


「腕のトレーニングと一緒にやれば、鎧のように分厚い胸板も夢ではありませんヨ!」


「あ、そういえば。最近覚えた日本語があります。日本人のトモダチに教えてもらいました」


「彼女は男性の身体にとっても詳しいんです! 資料もたくさんもっています。日本では鍛えられた胸筋のことをこう言うんですよネ! ええと……」


「雄っぱい!!」


「…………」


「……あれ? 違います? 間違ってます? ワタシの日本語がヘン?」


「ちょっと! ドーシテ笑ってるんですか? 教えてくださいヨー!」

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