決着

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」


あの女を今日殺せると思うと興奮が収まらない。


ダニ二匹を始末して、あとは元凶であるあのクソ女を始末すればいいだけと思っていたが、なかなか居場所が分からなかった。


だが今日の朝突然奴からメールが届いた。


”今日の18時新岡千駅の総合病院で会おうね”


とのことだ。


「ついに決着をつけようっていうことか...!」


ああ、この時をずっと待っていた。


あの女の息の根を止めればやっと何の障害もなく都斗と愛し合うことができる。


「待っていろよクソ女!お前のはらわたぶちまけてやる!!!!」


駅に着くと、レインコートを着たまますぐさま総合病院に向かった。


新岡千駅の総合病院は今は廃病院と化している。


つまり殺すには好都合ということだ。


病院の中に入ると、中はなかなかに荒れていた。


よく心霊番組で見るような感じになっていた。


「そういえば何階かまでは書いていなかったな」


自分で探せってことか?


「フフフ...いい、凄くいい!探して追い込んでなぶり殺しにしてあげる!!!」


そこから私は各階の細かい部分まで探しまくった。


「あーとっても興奮する!!」


あのダニ女を刺しまくった時よりも興奮する!


私は今が多分人生で一番興奮している!!!


「ほろほろほらほら!どんどん追い詰められている気分はどう!?恐怖で動けない!?」


ありったけな大きな声で問う。


「言っておくけどお前は簡単には殺さない!爪の一本一本はぎ取って、目玉をゆっくりくりぬいて、死なない程度に解剖してあげる!!」


こんなに興奮しながら叫んだのはいつぶりだろうか。


都斗に会う前は冷酷な女として生きてきたから興奮なんて一切しなかった。


それが今ではどうだろう。


都斗に出会ったことでこんなにも人間らしい状態になっている。


「さー次が最後の階だよ!」


この病院は五階建てである。


もう今は四階まで来ているためあとは五階しかないのだ。


「もしかして闇討ちとか狙ってる?だとしたらやめときな。私は気配を感じ取るのは優れてるんだから」


あのダニ女が盗撮してきたときもずっと後ろからそれらしき気配はあった。


「さぁ、出て来い!」


常に包丁を構えながら病室のドアを開けて行く。


もちろん病室の中もくまなく探す。


そう探しているうちに


「もう残った病室はここだけか」


探してない病室は一部屋だけとなった。


「......」


心臓の鼓動がよく聞こえる。


ここのドアを開ければすべてが終わる。


私の大掃除が終わる。


「...ここまで長かった」


日数で数えるとそこまでだが、体感的には三年ぐらいかかった気がする。


「...でもこれで都斗となんの縛りもなく生きていける...」


さぁ、未来への扉を開けよう。


「ここだぁぁぁぁぁぁ!」


怒号を上げながら病室の中に入る。


「どこだ...どこだ!?」


ゆっくりゆっくり足を進めて行く。


多分今の私の視力はおかしなことになっている。


入り口からもう病室のすべてを見渡せる。


「!?」


今、ベットの横で何かが動いた。


「み~つ~けた」


私は嬉しそうに呟き、ベットの下に近づく。


「もう...逃げられないよ、響ちゃん!!!!!」


そう叫び勢いよくベットの横に顔を出す。


そこには


「え」


間が抜けた声が出る。


それほどベットの横にいる存在がここにいる理由が理解できなかった。


「なんで、なんで」


理解不明。


なぜここにいるのか。


「なんでここにいるの。都斗」


そこにいたのは、体中縄で縛られていてベットに寄り添っていた都斗だった。

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