思わぬ再開2

「なぁ、あの後俺と彩華がどんな生活を送ってきたと思う!」


映像の中で男が衣珠季に怒鳴る。


「なぁ響...こいつは」


「うん、都斗君の想像通り衣珠季ちゃんの幼馴染で元カレの佐賀暮多鶴君だよ」


「!?」


やはりそうか。こいつが衣珠季を捨てた幼馴染か!


「分かるか?お前があんな適当な嘘を掲示板に書いたからこんなことになったんだぞ!」


男が身勝手の罵倒を続ける。


「なぁ響。こいつを利用したいるってことはお前とこいつは同じクラスなのか?」


「そうだよ。でも佐賀暮君は不登校になっているからクラスメイトかと言われれば怪しいけど」


つまり学校では会っていないっていうことか。


でもだとしたらいつ響はこいつに接触したんだ?


「昔から家族ぐるみの付き合いしてたのによ!そんな幼馴染にあそこまでの仕打ちができるか!」


男の身勝手の言い分に腹が立ってきた。


「勝手なこと言うなよ!元はと言えばお前が衣珠季を裏切ったのが原因だろうが!」


聴こえるはずがないのに、スマホに向かって怒声を上げる。


「確かに都斗君が怒る気持ちもわかるよ」


響が俺の怒りを肯定してくれる。


「このクズは自分が浮気したことを棚に上げて衣珠季ちゃんの報復処置をただただ罵倒しているだけ。もし私が衣珠季ちゃんの立場でも許せないのも当然だよ」


「響...」


驚いたな。


てっきり響はこの男の肩を持つと思ったが。


「でもさー」


「ん?」


「裏切ったのは君も同じだよね?都斗君?」


「!?」


響の声が俺を呪うかのように冷たく低くなった。


「君も私のことを捨てたのにちっとも反省してないよね?」


「......」


何も言い返すことができない。


「私本当に悲しかったんだよ?今までたくさん遊んできたし勉強とかの面倒を見てきてもう都斗君に依存していたのに、いざ勇気を出して告白したら捨てられて...」


「そ、それは」


「ちょっと黙っててくれないかな?今都斗君に意見は求めてないの」


「わ、わかった」


次喋ったら本当に何されるか分からない。


「結局都斗君は私のことをなんとも思っていなかったんだね。ちょっと母性本能がくすぐられる女の子に目移りしちゃうんだしさ」


「......」


響に黙れと言われたので何もしゃべらない。


「全部私の思い込みだったんだね...ハハハハハハハハハハハハハッ....ふざけんなよ」


「...っ!?」


突然笑ったかと思ったら今度は怒りの感情をぶつけてきた。


「でもね、都斗君をこんな男と同種類なんて言わないよ。都斗君はクズじゃない」


さっき言っていたことと矛盾するが。


「私の大好きな都斗君がクズなわけないじゃん。ちょっとお仕置きが必要な悪い子なだけだよ」


何故かクズと言われるよりその言い方の方が悪寒がする。


「うるせぇな」


「え?」


今とてつもなく冷酷な声が聴こえなかったか?


一瞬響の声かと思ったが、その声はどうやらスマホから聴こえてきた。


「さっきからどうでもいいこと喚き散らしやがって。やめろよ、耳が腐る」



この声は...衣珠季なのか?



「あ!やっと衣珠季ちゃんの本性が現れたね!」


響が嬉しそうにはしゃぐ。


「ほら、さっさとどこかに消えてくれない?お前なんてもう私にとって何にも価値がないんだからさ」


ほ、本当にこんなことを言っているのは衣珠季なのか?


「今の聴いた都斗君?”私にとって価値はない”だってさ。いつか君もこう言われちゃうかもよ」


響の言葉を否定できない自分に嫌悪感を抱く。


「こ、この野郎!!!!」


「衣珠季!」


衣珠季の煽りに体切れなうなったのか男の拳が衣珠季の顔面に直撃する。


「え?」


ただ衣珠季は鼻血を出しながらも全く痛そうにしてなかった。


「...そっちから私に手を出してきたんだ。もう何されても文句言えないよね?」


痛そうにしてないどころかもう報復をしようとしていた。


「...っ!?」


その言葉を聞いて男が逃げようとする。


だがそんなことを今の衣珠季が許すはずもなく男の首を掴む。


「おい、ちょっとついてこい。もし逃げたら...分かるよな?」


「...分かった」


そのまま二人は駅から出て、すぐ近くにある公園の多目的トイレに入っていった。


「響。これって今誰が撮っているんだ?」


バレないように後をつけるのは簡単じゃない。


「あーずっとカメラモードにして撮っているのは...私と同じクラスの千宮司彩華さんだよ?」


「...千宮司」


いや。まさか。そんなこと...


「そう。明善高校生徒会長の千宮司央花の妹が佐賀暮君の浮気相手だよ」

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