放課後デート
「まさかこんな近くにボウリング場があったとはな」
なぜ今まで気づかなかったのだろう。
まぁボウリング場と言ってもそこまで大きいわけじゃないが。
「夜桜はボウリングとかやったことはあるか?」
「中学校の時に何回かはあったな」
”何回は”か。
これは流石に勝ったな。
俺は中学校時代はほぼ月に3回は行っていた。
「どうする?ガターなしにするか?」
「月城君、私の個と馬鹿にしてる?私今まででガターしたこと一回もないから」
そんなの当然だ。
夜桜はガターなしでいいと言っているが、さすがに彼氏として彼女を叩き潰すわけにはいかない。
少し手加減してやろうかな。
ゲーム数は、10ゲームに設定する。
まずは夜桜のターンだ。
一応何回かはやっていたと言っていたから実力をよく見ておこう。
いきなりガターとかになって機嫌を悪くされたりでもしたらたまったもんじゃないから。
「...ふ!」
夜桜が勢いよくボールを転がす。
転がすときの姿勢は綺麗だった。
それで結果はというと
「よし、ストライク!」
「......」
まさかいきなりストライクを決めてくるとは。
「ほら、次は月城君の番だよ」
夜桜が余裕な笑みをして俺を呼ぶ。
「...まぁ俺もサクッとストライクを決めちゃおうかな~」
自信満々にボールを転がそうとする。
「......」
あれ?これどうやったらストライク狙えるんだ?
俺中学の時どうやってストライク決めてたんだっけ?
まさか一年やってないだけで、ここまでど忘れすると思っていなかった。
「月城君、頑張って!」
だが夜桜からの声援が聞こえてきたため、とっさに焦ってボールを転がしてしまった。
結果は...
「......」
「......」
言うまでもなくガター。
微妙な空気が流れる。
「だ、大丈夫だよ月城君。まだ始まったばかりじゃん」
そ、そうだよな。
今から昔の感覚を取り戻せばいいだけだし、何も焦る必要はないな。
夜桜がに連続ストライクを決めることなんてありえ
「よし!またストライク!」
「......」
それから夜桜は次々とストライクを決めていき、対する俺はガターはなくなったものの、微妙な点数しか決めれなかった。
結果は見事に惨敗。
「......」
「......」
今は気まずい空気のまま駅に向かって歩いている。
「ま、まぁボウリングなんて私たちからしてみれば所詮はただの遊びなんだしさ、そんなに落ち込むことないと思うよ」
夜桜は無理にフォローしてくれるが、さすがにあそこまでの惨敗は想定外だったため、この傷は簡単にはなくならない。
「それよりもさ、やっぱり今はテスト勉強に集中しないとね」
「...それもそうだな」
あくまで学生の本分は勉強だ。
ボウリングなどではない。
「私も今回のレストはあまり自信ないから月城君に負ける気がする」
そういうことにいってるやつに限って大体80点とか高得点を取るから信用できない。
「そういえばさ」
「ん?」
「あの千宮司先輩と月城君ってなんであんなに仲いいの?」
「先輩とか?まぁ先輩が気に入ってた響といつも一緒にいたから自然と先輩とも話す機会が多くなったんだ」
「そうなんだ」
響の名前を出したことで夜桜がの機嫌が悪くなったのは分かったが、千宮司先輩のことになると少し憎しみがこもったようなオーラを感じる。
もしかして二人は知り合いなのか?
だからさっき先輩も夜桜に対してしてあんなに強く当たったとか?
でも初めて夜桜と千宮司先輩があった時にそんな雰囲気あったか?
「どうしたの月城君?」
「な、何でもない」
だんだん駅が見えてきた。
「はぁ、もうそろそろ月城君と今日はお別れか」
「そ、そんなに気を落とすなよ。また明日も会えるだろ?」
「うん、そうだね」
笑顔でうなずく夜桜。
俺は夜桜を冷酷な女ではないと断定した責任を取って、この笑顔を守らなくちゃいけないと思う。
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