転校してきた美少女
「ねぇねぇ
俺の唯一の女友達である
「ああ聞いたよ。高校の転校って珍しいよな」
小学校や中学校の転校はよくあることだが高校の転校なんて聞いたことがない。
「高校を転校するには欠員補助を募集してる高校にしか転校できないって聞いたことあるけど」
「マジかよ、この学校ってそんなにレベル低いの?」
俺たちが通ってる高校は一応都内の私立高校であり、
「いや、確かに推薦の基準が甘かったような」
受験のことを思い出すのはやめよう。
嫌な気分になる。
朝のホームルーム開始のチャイムが鳴り、担任の先生が入ってきた。
「はい、それでは朝のホームルームを始めます。その前に、もう知っている人も何人かいると思いますが、今日からみんなのクラスメイトになる転校生を紹介します。それじゃ入ってきて」
入ってきたのは身長165㎝ぐらいの女性にしては少し背の高い、ロングの女の子だ。
「それじゃみんなに簡単に自己紹介して」
「夜桜衣珠季です。よろしくお願いします」
あまり顔を上げず消えそうな声で挨拶をする。
「はい、ありがとう。それじゃ夜桜の席は~お、
「はい」
マジか、こんなシュチュエーションある?
転校してきた女の子が隣に座るとかもしかして俺ラブコメの主人公?
夜桜がこっちに向かって歩いてくる。
てかよく見たら顔めっちゃかわええやん!
まさに美少女って感じだな。
夜桜が俺の右の席に座ると、俺の左に座ってる響が話しかけた。
「衣珠季ちゃん、私は桐生響っていうんだ、よろしくね」
「よろしく」
毎回思うのだがこの女子の会ってからすぐにしたの名前でちゃん付けで呼ぶのってだいぶ勇気いる行動だよな。
響が自己紹介を済ませると今度は俺がやれと目で訴えてきた。
「お、俺は
「よろしく」
よかった。
一応俺にも返事を返してくれた。
「......」
それからは夜桜は一言もしゃべらなかった。
なんか心ここにあらずって感じだ。
「それじゃこれで朝のホームルームを終わりにします。みんな、夜桜と仲良くするように」
先生が教室から出て行く。
一時間目までの休み時間となると案の情クラス中が夜桜に集まってきた。
何といっても夜桜の顔面偏差値が高すぎるからな。
これは男子が群がるのは納得できるな。
そこからはくだらない質疑応答が続いたが、夜桜はそっけなく簡潔に答えるだけだった。
一時間目が始まる時間になったため席に着く。
一時間目は英語だ。
そういえば今日転校してきたばかりの夜桜はまだテキストとか持っていないんじゃないか。
そのことに俺よりも早く気付いた響が俺に耳打ちしてきた。
「都斗君、あの子教科書もってないみたいだから一緒に見せてあげれば」
「え?ああ、そうだな」
俺にとってはかなり勇気のいる行動だったが実行することにした。
「夜桜、教科書まだ持ってないだろ?よかったら俺のを一緒に見ないか?」
そう言うと、夜桜が顔を上げ少しだけ俺と目を合わせた。
「なら、そうさせてもらおうかな」
そうと決まれば早速机を合わせて教科書を広げた。
何人かの男子からの視線が痛いがそんなことは気にしない。
「え~とじゃここを...ん?君は転校生か」
先生が夜桜の方を向いて言う。
「はい」
また消えそうな声で答える夜桜。
「そうか。転校初日で悪いがここを訳してもらえるかな」
普通転校初日の生徒にみんなの前で問題を解かせる!?
なんて鬼畜ジジィだ!
響が心配そうな顔で夜桜の方を見ている。
他にも何人かのクラスメイトが心配そうに夜桜の方を見ているが
「私たちは道中に捨てられたギターを見つけ、それをリサイクルセンターに持っていきました」
何も悩むそぶりを見せないで平然と答える。
先生もこれには驚いた様子だった。
一時間目が終わり、また多くの生徒が夜桜に集まってきた。
「頭いいねぇ」
「もしかして転校前の高校は名門だった?」
とかまたもやくだらない質問をしていたが、夜桜はどの質問にもそっけなく答えるだけだった。
そこから数学、国語、歴史と授業が続いた。
ちなみに夜桜はすべての教科の教科書を持っていなかったので俺が机を合わせて教科書を一緒に見た。
時々英語の時と同じように転校初日の生徒に問題を当てる腹黒教師もいたが夜桜は特に難しそうな顔をすることなく平然と答えた。
正直なんで俺らと同じ高校に転校してきたのか不思議になるほどだ。
勝手な予想で済まないがおそらく運動神経もいい気がする。
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