第12話 お前が幸せになるのは許さない

イジメ。


それはどの学校でも起こりうる、ありふれた現象。

支配欲を満たすためだけに人間を陥れる哀れな行為。


別にいじめる側をモンスターだとは思わない。

そんな怖いものではなく、犯罪まがいのことを堂々とする、ただの馬鹿だ。


俺が通っていた中学校にも、その馬鹿はいた。


中学すみちゃんは、友達は1人もいなかったが、ターゲットになることもなく、ただ漫然と日々を過ごしていた。

しかし、その日常はあの男子生徒を見殺しにすることで成立していた。


見殺し。


それは比喩ではなく、文字通りに見過ごして殺した。


言い方を変えれば、自殺をした。

この世で最もつまらない死に方。

自分で自分を殺しても、面白くもなんともない。自殺したら問答無用で地獄行きだというのが本当ならば、割にも合わなさすぎる。


そんな、百害あって一利なしである死に方を選ぶしかなかったあの男子生徒の心情。それは、俺如きでは想像もつかない。


いじめた側ももちろんそうだが、知らなかったでは説明できないほどの扱いを受けていたのに、手を差し伸べなかった中学校全体で、あの男子生徒‥‥‥天野くんを殺した。


俺にできることなんか無いに等しいが、このことを覚えていることくらいならできる。


あぁ。もう一つできることがあるか。

年月が経って幸せそうに勇者なんてやっているいじめの主犯を殺すくらいだったら、こんな俺にもできる。

\



「これ、殺して良いですか?」

「いいよ。手伝うか?」

「大丈夫です」


これは、俺の問題だ。


テメーを棚に上げて、罪悪感を少しでも少なくしようとしている自分勝手な行動に、ローファさんは巻き込めない。


「まあ、お前だったら足を切り落とされるくらいで済むから大丈夫か」


納得した顔で去っていくローファさん。


ふむ。

片足なのか両足なのかを聞くのはダサいだろうか?

\



金の次に男が一致団結するのに必要なものは、エロだ。


あんな政策に不満を抱かない野郎は少なかった。


「分かった!あれが死んでもお前さんがやったとは言わねーよ!」


見るからに俺よりも強そうな屈強な男達が、こちら側についてくれるのは心強い。


「俺達もあれの馬鹿丸出しの政策にはウンザリしてたんだ。たぶん、殺しても困るやつは貴族連中だけだろうから、思いっきりやってくれ!」


国民からの評判が悪い権力者。

なんて分かりやすい悪役なんだ。


世界征服が霞むじゃないか。




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