第6話 新しい日々
オンライン会議を終えてから色々とスキルの詳細など新しい項目が増えたので
暗闇の中でメニュー項目を詮索していると、ふとここが何処なのか気になってきた。
まだ赤ん坊のため視力も低いのかぼんやりとしている。
どうやらレンガ造りの家の一室のようだ。
月明りでぼんやりと部屋が見渡せる。
と、そこに静寂を打ち破るように泣きわめく女の声が遠くからどんどん近づいてくる気配がする。
ドンッと開け放たれたドア。
そこに泣きじゃくった20代半ばほどの女と同年代ほどの男が
女の肩を抱きながら現れた。
「うぅ・・・一体、これからどうすればいいの・・・うぅ・・・
まだこの子も産まれたばかりだというのに・・・」
泣きじゃくる女を男が宥め続ける。
なんなですかぁ、、これは・・・
呆然と見守るしか無い現状がまるで永遠のように長く感じた。
男が流れを変えるかのように何かを覚悟したかのように一瞬呼吸を止め、口を開いた。
「アンヌ、私は盟友であり、親友でもあったアルデバランから自分にもしもの事があれば貴女の事を護って欲しいと常々言われておりました。
私のような領地騎士を継いで間もない若輩者では心元ないのかもしれない。
だが、どうか私に君とその子を、亡き友、アルデバランのためにも護らせてほしい。」
女は一瞬何があったかわからないような顔で困惑した。
「で、でも、私は、主人を亡くしたばかりで、貴方とその、
結婚なんて・・・」
「それでも良い。どうか私と結婚してください。」
「あぁ・・・」
女は縋りつくように男の身体に身を預けた。
お、おいおい、マジかよ。
なんか嫌なモノ見ちゃったなぁ・・・
転生して間もなく、気分が重く、頭をバットで殴られたような気分だった。
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それからしばらくして、剛には新しい名が与えられた。
それなりに名の売れた冒険者だった父が遠方の雪山でドラゴンと闘い相打ちになり
お亡くなりになったらしい。
冒険者はどうやら組合に所属するもっぱらダンジョンやその他の場所で荒事をする商売らしい。
ゲームによくある設定だ。
その父の名を継いで剛はアルデバランJr、もしくはアルデバラン。
家族やメイドからはアルと呼ばれるようになった。
ウッドヴィレッジという辺境地域を納める下級貴族である
ギュスターヴ・フューラーという男の義理の息子というわけだ。
その後は異母兄妹になる妹と、弟も産まれ。
気が付けば剛は7歳になっていた。
特に何の指示も無くぼんやりと7年を騎士の息子として、
次世代を担うための教養や訓練を受けながら過ごし。
たまには村の周辺の獣や魔物の狩りを見学したりして過ごしていた。
彼は前世の事を教訓に誰にでも務めて親切、丁寧に接して
村の子供達には極力ガキ大将のスキルを発揮しないように接触しないようにした。
そうして生活を送る内に自分が前世の記憶などある事は全部夢なのではないか?と思うようにもなっていた。
そんなある日の事だった。
7年ぶりにピロンッ!という音が脳内に響いた。
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