第3話長い旅の始まり
まるで長いトンネルのような
沢山の光の流れる空間を何処かに向かって吸い込まれている。
そんな感覚の中に剛はいた。
複数の声が脳内に響く
「えーー・・・嫌だよぉ。要らないでしょ、こんなクズ」
「ジャイアントとかオーガとかさぁ、自分の黒歴史ノートにも書いてるし
魔族とか魔物でいいんじゃない?」
「ダンジョン内で転生させて無限に狩られるの刑とかいいんじゃない?」
「いやいや、贖罪プログラムが有りますので人命を率先して奪うようなクラスはちょっと・・・」
声は複数聞こえる。
何か一言告げようかと考えたが思考が働かず、とにかく眠い。
剛は黙って聴き耳を立てるしかなかった。
「えーっと、とりあえず人間でステータスは最低ランクで
スキルはどうしようか。
他の転生者みたいにステータスとかチートスキルを与えると
元がクズだからロクな事しないよ。」
「特典持ちだし何か加護を付けましょう!あ、これなんかどうです!」
「あー、中型免許あるんだね。じゃあトラック召喚とかで良いんじゃないかなぁ。」
「いやwww適当過ぎますってwww」
・・・・・・・
・・・・
・・
剛の意識は段々と薄くなっていき、
気が付けば薄闇の中で柔らかな衣に包まれていた。
剛には転生前にはあまり異世界物の作品の知識も無く、サブカル文化への興味も無かった。
せいぜいギャンブルに使われるマシンの題材の作品を動画配信サイトで流し見した程度だ。
ゲームは友達から借りたゲーム機でそこそこ遊んだが、あくまで暇つぶし程度に遊んだ程度の感覚だった。
とはいえ彼は無自覚ながら凝り性だったので様々なジャンルのゲームをやり込んでいたので、そこそこのセンスは有った。
なので彼はまずはなんとなくステータスのようなオプションが無いのか確認を
してみようと試みた。
「・・・ぁぅ」
声が出せない。
辛うじて眼球を動かして自分の身体を確認すると、
小さな手足である事が理解できた。
赤子だ。
赤子からスタートしたらしい。
今になって気が付いたがどうやら剛は記憶を失っていないようだ。
声が出せないので心の中でステータス表示などを念じて探してみる。
・・・・
・・・
・・
視界の中央に突然半透明のウィンドウとステータス表示が出る。
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名前<クズ>
職業<なし>
信仰<なし>
Lv.1
体力・・・H ランク
技量・・・H ランク
筋力・・・H ランク
信仰・・・H ランク
魔力・・・H ランク
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<スキル>
・贖罪
★★★★★★★★★★(Lv.10/10)
・中型免許(トラック召喚)(Lv.--)
・超音波
☆☆☆(Lv.3/10)
・ジャイアント
☆☆☆(Lv.3/10)
・オーガ
☆☆☆(Lv.3/10)
・ガキ大将
☆☆☆(Lv.3/10)
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どうやらHPなどの概念は無いのか表示されない。
なんとなく転生物にありがちな事がパターンが表示されて
安心したが、
(なんだこのふざけた名前のスキル・・・?
神様??なのか、あの声の連中ふざけやがって・・・!!)
「ぁぅっ!!」
剛は怒りの咆哮を上げた。
が、しかし赤子なのでわずかにしか声は出なかった。
詳細がわからない、おふざけで付けたとしか思えないスキル名に
生まれて間もなく嫌気がさしてきた。
(詳細表示とかないのか・・?これじゃ意味がさっぱりわからん?)
と考えているとピロンッ!
という着信音が聞こえた。
(はぁ!?なんだこれ!?)
視界の端にメッセージマークが見えるようになった。
中を見たい!と念じて見るとウィンドウが表示された。
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異世界 ライジング・サガの世界へようこそ
この世界には様々な種族や神・龍・魔物など魅力的存在が
貴方を待ち受けています。
また、様々な神話や出会いが有ります。
時には転生者(他プレイヤー)とも協力・敵対しながら
冒険と感動を味わう事ができます。
また、冒険だけでなく生活やクラフト
自分だけの領地や基地の開発、恋愛、結婚などの
システムも用意されています。
・・・
・・
・
・NPC(現地人)は世界各地で自分の思考を持ち生活を
しています。
彼らを傷つけたり、犯罪を犯すと罪に問われます
絶対にやめましょう。
・・・・
・・・
・・
・
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どこかのMMOのチュートリアルのような文言が続く。
その中で気になるワードだけを調べてみる。
--スキルについて
・ノーマルスキル
職業(job)の習熟度の増減や特定の行動、生活習慣などによって
習得する事が出来ます。
・固有スキル
個人の性格や特性によって様々な特殊能力をアクティブ、または
パッシブで習得することが出来ます。
※スキルの中にはマイナス効果が作用する場合も有ります。
・・・・
・・
・
意外にも剛はチュートリアルに一応目を通しておく派だった。
当たり障りの無いクソゲー感の強いマニュアルに目を通していると
ピロンッ!
という音声と共に新着メッセージのマークが視界の端についた。
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