第18話

ヒルツ大尉西へ(4)サソリに貞操奪われちゃったの、クスン

https://www.youtube.com/watch?v=AwzaifhSw2c

戦場。ヒルツ隊は放棄された寒村を一時拠点にしていた。トラップの宝島

徹底的に摘発し、使える物はもらっちゃう♥

そこそこ寝心地のよさげな一室で寝る。熟睡しかけたとき凄まじい殺気がヒルツを襲う、瞬間、初動に移りかけたヒルツの左手が「投げ爪」で床に縫い付けられた、同時に頚動脈を少し外した首筋の皮一枚に刃が刺さる

「動いてはいけません、声を上げてもいけません、私は味方です」

女?ふざけやがって、この程度で俺を・・・

視線を上に向けた、クラスターパイナップルがぶら下がってる。緑色の蛍光テグスが真ん中に巻かれ、ご丁寧に俺の右足へと伸びている

ピンに細工したもう一方に視線だけを向けた

その緑に光るテグスは返り血に染まる「奴」の首に巻かれている

重装甲の改造人間でもこの距離ならお陀仏だ。歩哨は・・・だめだろう


イカレテル。


今まで色んな奴を見てきたが、ここまでイカレた奴にお目にかかったのは初めてだ。

「状況、把握出来ましたか?」

声にまったく抑揚が無い。オートマチック?いや、お人形さんがこんな殺気を出せるわけはない


「貴方はとてもユニークです。情報をプレゼントしてあげます」

「いら」言いかけたとき刃が皮三つ分押し込まれた

「声を出さないで聞いてください。貴方は明日、屋根の上から虹を見るのです貴方はその虹が欲しくなり旅に出ます。虹を捕まえることが出来るでしょう。」

「貴方はその場所で木こりとなります、池のほとりで木を切っていると大事な斧を池に落としてしまいます。女神が現れるでしょう、そしてこう言います。貴方の斧はこれですね。と。渡された斧は錆び付いていて何も切れません。怒った貴方は斧を地面に叩きつけます。折れた斧が貴方の足に刺さることでしょう」

なに言ってんだこいつ?

言い終わるとその女らしき「物」は霧に消えた

ヒルツの意識が遠のく「ガス撒きやが・・・」


目覚めた。気配を探る、異常ないようだ。ゆっくり頭をもたげる「左手」に痛みは無い。注意深く起き上がる、投げ爪に縫い付けられたはずの左手には傷が無い、床を見ても何の痕跡も無い。

部屋中を捜索する、何の異常も見つけられなかった。

「夢か~?」にしては記憶が生々しい

不承不承ドアを開けた

「おはようございます」歩哨が敬礼する

「あ、大尉殿首から血が流れています、ダニか何かに刺されたのですか?すぐに手当いたしましょう」

手を首に当てる、血が付いた左手。夢じゃない!

「おい!今すぐ全員をたたき起こせ!警戒を強化せよ!副官に至急屋根に上って来いと伝えろ、急げ!」


つづく

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