第13話

13ヒルツ大尉西へ・13フリクションインフォメーション

https://www.youtube.com/watch?v=GAiceRuLX1I


小早川はまだ呆然と立ちつくしたままでサソリを見ていた

高級ホテルのスィート、セキュリティは万全で、ハウスキーパーの出入りは監視していたしトラップも仕掛けていたはずなのに?どうやって?

優雅に足を組みソファーでくつろいでいる、ジュエリーコーラルに真珠をそっと飾ったような女が?昼間つまずいた「アスファルトの窪み」と同一人物?

悪夢に迷い込んだ気分だ。


「あんたの「ディープスロート」いい腕してるな、とてもイカサマにゃ見えなかったぜ、どうやって垂らし込んだんだい?」

「ふふふ、色々してあげたのよ。色々とね。」

「へっ、どうせ人質でも取ったんだろ?」

ヒルツが毒づく、サソリは微笑で答えるだけだった。


もっと安全な資金のやり取りはいくらでもある。

こういう「火遊び」が大好きな点では二人とも非常に気が合っていた。

結果、双方とも資金が増えた。

小遣い稼ぎ。本当の目的はこれかもしれない。

可哀想なのは何も知らされていない小早川だ。


「よう!シャロン、お客様にお紅茶でも差し上げな。」

「「桃白白」がいいわ、ここのスイートなら置いてあるはずよ?

貴方の分も入れて3杯、説明が欲しいでしょ?

お菓子をおあずけされた子供みたいね?可愛いわよ。」


澄み切った緑山のような高級茶「桃白白」の香る中

簡単にこの猿芝居の説明を受ける。

小早川はあきれ果てた。資金が無事譲渡されたことには安心したが、

別の意味で腹が立ってきた。


「で、「ババ抜き」様はなにを教えてくれたんだい?簡潔に頼むぜ、大佐殿。」

鼻くそをはじきながらいかにも飽き飽きしたようにまた毒づく

ヒルツはもう眠たくてしょうがない。

「軍産共同体ね。Toenail of Satanその名を言ったとたん自爆したわ。

あるいは仕掛けられていたのかもね。」

「へー、で?」

「掴めないのよ、うちのお国にもいるでしょうね?平和が嫌いな人達。

恐ろしく絡んでいるわ、少しでもいいのよ?尻尾を捕まえたいの、いざ鎌倉の時必要になるかも。得意でしょ?「あぶりだし」

「暴れろ、って事かい?」

「察しがいいわね?そういうところが好きよ。」

「あんたが掴めない相手なんざ、逆立ちしたって出来っこねーよ」

「取り合えずマルセイユの新興麻薬組織。そいつを潰してみて。そこから探るわ。」

「俺の「お友達」と利害が合わねーなら、この話は無しだぜ?」

「死にたい?」

「問答無用ですかい」

「ふふふ、冗談よ、貴方のお友達、興味ないわ。これでも忙しいのよ?

その利害、知るだけでも貴方の利益になると思うわ、どう?バイト好きのヒルツさん。」

ばれている

「わかったよ、なんでもあんたの意のままに、さ」

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