第11話

11ヒルツ大尉西へ・11カジノ


ヒルツ御一行様はカジノ「南沙の宝石」でバカ騒ぎをしていた。スロットをはしゃぎながら引き倒すシャロン(小早川ね)

大勝ちしている。テンションMAX。機嫌も少し良くなって来た。

こういう奴が身を滅ぼすのだろう。

ヒルツは「アルゼンチンの冷たい風」ご時世にピッタリな名の芳醇な酒を舐めながら、シャロンがフィーバーする度狸踊りを踊る。アホ丸出し。キャッホー!お次はルーレットだー!

そこそこ勝ってショーを観て一休み。店側からシャンパンが届けられた。

ヒルツは大陸のとある「結社」の構成員用認証クレジットを左手に入れている。指紋もデータに入力済みだ。

各地にヒルツ子飼いの「ディープスロート」がいる。金が掛かるのはこの為だ。

「よっしゃー!お次はバカラで大儲けするゾ!」

VIPルームにご一行様はうやうやしく通された。

見渡す限りの「特別」な長者達、そいつらの連れている女に交じると、さすがのシャロン(オカマ)も霞んで見えた。

さっそく席に着いた。ヒルツの首に後ろから手を回して抱きつくシャロン(このまま絞殺したい!欲望と戦う小早川)

壁際に仏頂面したジャック。

何度目かのプレイの後、その女は現れた。


周囲を圧倒する美貌、それでいてシンプルで気品あふれるトキ色を、シルバーグレイで縁取ったドレス

それをそっと飾る美しい帽子、目の粗いレースが目元をうっすら隠し、胸元では小粒のサファイヤ達が大粒のダイヤを崇めている。

「こちらの席、空いてらっしゃる?」

「もちろんですとも!」

喝采を挙げるじじい共

美形のボーイフレンドが女をエスコートする

さっそくゲームが始まった。

ディーラーがシュータを弾いてカードを走らせる

ヒルツはバンカ-に賭け、女はタイに賭けた

ヒルツが大げさな声を上げ大笑いした

「ネエ、パパァンどっちが勝ったの?シャロンわかんなーい」(私、もっと分かんないんですけど)

「俺の負けさ、これからビシバシ取り返すゾ!」

高額な弁当に他の客は一人抜け、二人抜け、最後は女とヒルツと二人だけになった(ルール違っててもワシ知らんもんね)

一進一退の攻防の末、ヒルツは「資金」の半分を失った。

シャロンが怒りを抑えきれずわなわなと震えている。

この場では正解だ。


ホテルに帰るなり

「大尉!何てことするんですか!」小早川君大激怒!

ニヤニヤ嗤うヒルツ

カティン!シュボッ

小早川が反射的に振り向き驚愕した!

さっきの女が壁からにじむように立って紫煙を小早川に向って吐いた。

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