第4話

4ヒルツ大尉西へ4・小早川盾雄、魔界へ

カラスさえ色あせてしまうような灰色に塗りつぶされた街。

そこに唐突に表れた毒々しい食虫植物の様な建物。

金ぴかを基調にチェリーピンクとコバルトグリーンが入り混じりこれ以上ないぐらい悪趣味な彫刻が絡み全てを埋め尽くし、中央にはストーンズの例のマークが歪んだ真珠で彩られている、その威容はあたかもこの街の秘部の様に観えた。

「クラブ☣ジグラットの魔女」

その扉の前に立つ二人の男。ヒルツと小早川盾雄少尉。

小早川の顔色は紙のように白く乾いて、微かに足がふるえている。

 「今日からここがお前の戦場だ。半月で「おんな」に成って来い」ヒルツは口元に意地の悪い薄ら笑いを浮かべて言った。

 「ご命令に従います」

小早川は軍人らしく凛として答えた。しかし内面のじくじたる思いはヒルツ大尉にとってご馳走だ。

 

ドアマンがその重々しい装飾過多のドアを開けた。

(こんな感じねw)↓

https://www.youtube.com/watch?v=EYG94r7g1QM


「キィャ~ン♡バンコラン様~♪あなたのマライヒお待ちしていたわよ~♡♪」

 「それ以上動くな!」ヒルツは銃を抜いて引き金に指をかけている。本気だ。

 「あら、やだん、つれないわねぇヒルツ坊やったら。久しぶりの再会なのに~。2号さん(サソリ)のお相手ばっかりしちゃって、あたし泣いちゃうわよん♪」

この化け物、陸軍泣鬼之学校初代校長、長谷川巌中将、困ったことに漢であり変態である。たたき上げの軍人で「翼が折れても飛ぶ爆撃機」陸軍なのになぜかそう呼ばれる陸軍の重鎮であった。この世でヒルツ大尉が2番目に苦手とする人物である。戦後突如引退し「乙女」となりこの店を開いた。

選りすぐりの美女達、男娼、ニューハーフ、おかまちゃんにお化けちゃん。女王様に奴隷様

あらゆる悪徳をたたき込んだような風俗の総合ディステ

イニーランド。

このご時世いくら元陸軍の重鎮であろうとのような奢侈は許されない。はずだ。だが存在している。そういうものだ。

「おやじに頼みがある」

「イヤーン!おやじなんて呼んじゃイヤ!マライヒって呼んでくれなきゃゆうこと聞いてあげないんだから。」

殴りたい!・・・ヒルツは本気でそう思った。

小早川なぞ完全に怯えている。

「こいつを半月で「おんな」に仕立てて欲しい」

「あら、こんな男前をあたしに預けてくれるの♥」

「ヤーン!ママだけズルーイ!」お化けちゃん達が騒ぐ。

「頼んだぜマライヒちゃん。」

小早川は自分の運命とヒルツを心の底から恨んだ。

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