第3話

3ヒルツ大尉西へ


暴力の灼熱とは裏腹に季節は凍えた。

各地に飛び火した紛争は我が国にも深い闇を刺し、否応なく戦乱へと引きずり込んでいった。

極東最前線のヒルツ大尉は、今日も元気いっぱいどいっぱいー。敵も味方も大迷惑!どひー!

彼の指揮する部隊の任務は主に威力索敵である、本隊が侵攻する以前、臭そうな地点に攻撃を加えつつ偵察し敵の動向を探り隙があれば潰す、要するに放し飼いだ。ヒルツ大尉の使い方としては最も無難で効果的な任務といえる。

一応の作戦は指示されるものの、状況の変化にともないほとんどが変更という無しのツブテのシカトちゃん!独断変更も事後承諾( 」´0`)」オーイ。

なぜか敵を嗅ぎ付ける嗅覚にすぐれ本隊到着前に決定的打撃を与える事例が多く報告されている。

気分屋さんのケルベロス。と見せかけて広角視点に基づいた計算づくな人員配置。

何重もの狡猾な罠を仕掛け執拗に荒野を駆けぬけ、時に風、時に林、稲妻の母に生み出されし野火のごとく、敵を燻りだし決定的打撃を与える恐怖の作戦を瞬時に思いつくちょっぴりシャイな憎いやつ。

そのような激務をこなすヒルツ隊にもまれに休暇という甘い日々がある。ヒルツ大尉以外は皆放心状態である。無理もないことだ。だがしかし、気を緩めたらとても酷い悪戯をされるので部下たちは常に戦々恐々だ。

何の前触れもなく突然奇声を発し、「今日もウンコ漏らして全身に塗りたくりました~ウンコ大好き~」と実際に身体じゅうを金色の衣でまとい、部下達を追い回し悪臭放つ「ブツ」を誰彼かまわず擦り付けていく。逃げ惑う部下!雄たけびを上げるヒルツ!その姿は往古の邪神の降臨を思わせた。

しかしヒルツ大尉の地獄の洗礼を受けた者の生還率は非常に高く、いつの間にやら「ヒルツ大尉のウンコが付くと生きてお国の土を踏める」との軍隊伝説が浸透し「せめて尻を拭いた紙だけでも下さい」と付きまとう者多く、当の本人は面倒くさくなって「やんなきゃよかった」と後悔している。

葦船に流さたヒルコが稀人となり幸をもたらすという伝説とは関係ない。

民俗学的関連動画

沖縄のパーントゥー

http://www.youtube.com/watch?v=yRqi4fCG2RQ




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る