4回目 4
「響は機械だったってことなのか?」
「そうで」
「わぁ!もしかして人間!?」
答えようとした颯の声を誰かの大声が遮った。
「お」
廊下の角から首の途中くらいまでで黒髪を切り揃えた少年が姿を現した。
中学生か、見方によっては小学生にも見えるくらいの年齢だ。
「えっ、ロボット!?壊れてるぞ!?」
「み、耳が…」
少年の大声で庵の耳が限界を突破していた。
ただでさえ爆発音で衝撃を受けたところだったというのに。
「はいはい、ちょっと静かにしようねー」
右京が苦笑して少年の口を覆った。
「むぐ!?んーーーーー!」
少年が騒ぐ。
「お前は誰だ?何処から来た?」
「むぐむぐ」
右京が少年の口から手を放す。
「オレ、暦。さっきここにきたっぽい。部屋に銃あったから持って部屋出て、化け物とか倒しながら来たんだぞ」
「お前が一人で?」
「そうだぞ。失礼だなあ」
この幼い少年が一人でそこまでのことをやったとは信じられなかった。
「起きたときから一人だったの?」
「そうだぞ。で、このロボット大丈夫なの?」
「「「あっ」」」
暦が呆れた視線を送ってくる。
「右京、能力でダメージを吸い取れるか?」
「ここまで壊れてるんじゃ無理。響君の体力がもつ間に治すって言ったら僕の方の体力がもたないよ。結構燃費悪いの」
それもそうだ。全力の響を抑えられるのは実質右京一人だから、響が全回復したタイミングで右京が倒れたりすれば最悪だ。
「颯が能力増強的な能力を持ってたり…しないよな」
本人の反応で読み取れた。
「残念ながら私の能力は身体能力の向上です」
「能力増強って、オレ言われたぞ」
一瞬の沈黙。
「は?」
「え、どういうこと?」
「詳しく教えてください」
反応が見事に被った。
「え?だって言われたんだよ。起きたときに変な声がしてさ、貴方の能力は能力増強ですって。だから他に人間がいるのかって思ってここに来たの」
「それ、僕に使える?」
「どーぞ」
一瞬、右京の体が光に包まれた。
颯がもう一度響の体をベッドに縛り付けて、右京の手が響の損傷した部分に触れる。
ばらばらだった破片が光り、響の体に吸い込まれていく。
響の傷が塞がって目が開く。
その目は赤色に戻っていた。
「んん…」
響が微かに声を出した。胸の光が消える。
「右京さん、?」
「え、大丈夫か?」
右京がその場に崩れ落ちた。
呼吸が荒い。
「あはは、大丈夫だよー、暦君が補助してくれたから、」
「そうですね。あの傷を修復してこの程度で済んだということは、やはり暦さんの能力は優秀ですね」
「なんか嬉しいや、ありがとな!」
響が体を動かそうとして、鎖がガチャリと音を鳴らす。
「動くな、響」
「庵?それで、この子は?」
「あ、自己紹介が遅れたな!柊暦、14歳だぞ!これでも名家の生まれなんだ!」
柊暦?柊という苗字、どこかで聞いた気がする。
「え、右京さんの兄弟?」
響の質問に、えっ、と暦が声をあげる。
「いや、うちの家系はみんな黒髪黒目だから違うと思うぞ?」
「そうだよ、響君。それに僕の出身は別に名家じゃないよ」
兄弟にしては年が離れすぎているというのもあるだろうか。
記憶が正しければ右京のカルテに年齢は28歳だと書いてあった気がする。
二倍の年齢ということか。
「それで響君、君の臓器血管その他諸々が機械に置き換わっているのを確認したけど、どういうこと?」
「え?どういうことですか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます