4回目 3
「んん…」
響が目を覚ました。
三人が一斉に響に武器を向ける。
「、わあ」
響が目を丸くした。
時々恐ろしく達観した態度を見せる割にこういうところは年相応かそれ以上に幼く見える。いや、ベッドに縛り付けられ複数人に武器を向けられているというのに目を丸くする程度の反応しかしないのは恐ろしく達観している証拠なのだろうか。
「お前は『特異点』なのか?」
「…」
響は俺の質問に答えず、俺をじっと見ている。
「答えろ、響」
「…」
「別に怒ろうとしてるわけじゃないんだよ、響君。だから教えて」
そのままの意味で響の眼の色が変わる。
血のような赤色だった両目は淡い青色になった。
あの時の人形のように。
『重要機密への干渉の意思を確認。抵抗不能。情報を消去します』
響の口から出ていたのはいつもの声ではなく、何人もの男女の声を合わせた合成音声のような声だった。
「っ」
何か嫌な予感のようなものがして後ろに下がる。
爆発音が聞こえて、響が拘束されていたベッドを中心に爆発が起きていた。
右京がベッドに駆け寄った。
響の体は数秒前とは変わり果てた姿になっていた。
胸を中心に大きく損壊している。
颯が息を呑む。
その体は明らかに人間のものではなかった。
今では壊れてバラバラになってしまっているが、その体は機械でできていた。
いや、機械と言うには異形すぎるだろうか。
人間の体の構造を残したまま、臓器や血管などが機械に置き換わっている。
「颯、これ現代科学でできる?」
「不可能です。残念ですが」
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