閑話休題 1
少年は今日も真っ暗な部屋でパソコンを操作していた。
ネットワークに繋がることはないパソコンは画面に文字を刻む役割しか果たさない。
部屋には窓がないから、外の天気も時間も季節もわからない。
彼は古の名家に生まれた。
彼の母や姉妹は長い黒髪の美人、父や兄弟は短く切られた黒髪の美男子である。
だが少年は違った。
生まれつき銀髪紫眼なのだ。
彼の家系に外国人はいないというのに、だ。
彼の誕生に親戚一同は非常に驚いた。
過去にも銀髪紫眼の男子が生まれたことがあり、その際に家が滅びかけたからだ。
両親との遺伝子上の親子関係が証明されると、まだ赤ん坊だった少年は侍女に育てられ、乳幼児期が終わったら屋敷の一室に幽閉されることになった。
彼には騒がないようにと沢山の玩具が与えられた。
愛情などなく、侍女たちは一族の恥さらしと後ろ指をさし、親族は少年など最初からいなかったように振舞った。
少年には兄が二人いた。
下の兄は何かと理由をつけて会いに来た。
少年のことを気遣ってのことだった。
兄は大人になったら何をしたいかと少年に尋ねた。
今まで夢など持ったこともなかった少年は戸惑った。
そして考え込んだ末にスーパーヒーローになりたいと答えた。
兄は笑って、じゃあこんなところ逃げ出してしまおうと言った。
少年―後の右京は兄の黒い目を見て頷いた。
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