1回目 2
「興味ない」
「いつもつれないなぁ」
病棟の外壁は健康的な淡い桃色で来る者に希望を抱かせたことが窺える。
無人の中庭で記憶の確認をする。
「名前は覚えてないな、あと記憶も無い」
言われて自分も記憶が無いことに気付いた。
「それで、ここは多分病院で、」
そこまではわかってる。
「俺達は以前から知り合いだったのだろうか?」
「識らない」
日差しが眩しくて病棟の中に戻った。
彼もついてくる。
冷気が躰を包む。
「それで俺達は健康だったとは云えないようだ」
目覚めたとき点滴が繋がっていたのはそのせいだろうか。針を腕から引き抜くと鋭い痛みが走って目が覚めた。
彼は律儀に今も点滴を繋いでいる。
「探索はしたけれど、特に何も見つけられなかった。人がいないことを除けば、普通の病院だった」
頷く。
「それと、書いてあったけど、この点滴は鎮痛剤、痛み止めだな」
これを抜いたから頭痛がするのだろうか。
先刻から意識が朦朧として頭が働かない。
彼の声が遠くから聞こえて来るような気がして、気付いたら意識は途切れていた。
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