3回目 7

部屋の外に出る。

化け物の姿は見当たらない。

「地上階に行ってみようか」

「ああ」

一階で階段を出たあたりで化け物の叫び声が聞こえた。

廊下には化け物が溢れかえっていた。

一匹ずつ心臓を狙って倒していく。

ようやく周りが見えるくらいになったとき、遠くで足音がした。

怪物達の乱暴な足音ではない。

「庵!」

「わかってる。人間だな」

足音が近づききる前に怪物を全滅させる。

時間との戦いに勝利する。

硬い足音が階段の出口あたりで止まる。

「行くか?」

「先手必勝。行こう」

走って階段の出口に到着する。

人の後ろ姿があった。

人の形をしていても人間ではないと直感した。

「それ」が振り返る。

真っ白な長髪と、淡い青色の瞳。

肌は陶器人形のように白い。

実際に人形なのだろうか。

「........」

無感情な視線に射抜かれた。

「....っ」

相手の体の周りに金属の鎖が現れた。

白く細い指がそれを掴む。

じゃり、と音がして。

「庵っ」

響が駆け寄って刀で人形の胸を貫いた。

「かはっ」

血を吐いたのは響の方だった。

響はそれでも人形に襲い掛かりダメージを与えようとする。

「響!迂闊に攻撃するな」

「チッ」

食らったダメージを相手に与えているのか。

階段の下から走ってくる足音がする。

「ご登場ですね」

「颯」

颯は人形に向かって銃を連射し始めた。

「ちょっ待て!そいつは食らったダメージを与えてくる!」

「だったら跳ね返せる限界を超える!」

「その前にお前が死ぬだろっ」

埒が明かない、銃の引き金を引く。

自分の肩の下あたりに銃弾が当たる感覚があった。

「っ」

颯に倣って撃ち続ける。

もう颯もぼろぼろだ。


どれくらい時間がたったのかわからない。

人形はいつのまにか見えなくなっている。

颯の予想が当たったのだろう、この倦怠感と眠気がなければ全力で褒め称えたい。

二人は生きているだろうか。

「あ!庵君起きた!」

「っけほ」

「声出さないほうがいいよ、喉にもダメージ食らってるから」

ぼやけた視界が少し鮮明になる。

銀色の短髪と紫色の瞳が見えた。

(…右京、か。二人は)

二人は生きているのか聞こうとしてまた咳き込んだ。

口を塞がれた。

「だから声出すなってば」

(すいません)

伝わったか分からないが心の中で謝罪しておいた。

「二人は生きてるよ。響君はもう目も覚ました」

安心した。一方で響は明らかに心臓貫かれてたがどうやって生還させたのだろうかと思った。

「僕が頑張った」

心を読まれているんだろうか。

「まあ暫くは起きようとすれば僕に怒られる地獄みたいな生活が続くだろうね」

地獄なのだろうか。

元々面倒臭がりなのでそれほど苦には感じないだろう。

眠い。

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