3回目 3
「この返り血は、化け物たちのだよ」
「僕達が目覚めて銃を手に取った直後、病室のドアを破って大きな犬みたいな化け物が襲ってきた。多分銃を持つことがトリガーになるんだと思う」
右京が説明している間も、隣に立った颯という青年はずっと喋らない。
「でも、『僕達に会ってしまったこと』、これがトリガーであってもおかしくはない。だから、響君、庵君」
僕達と一緒に来ないかい?
右京の薄い唇がそう動いた。
音が聞こえないのは異常に大きな鳥のような化け物の咆哮のせいだろうか。
「っ!」
颯が両手に銃を構え、連射する。
銃弾は化け物を傷つけても、殺すまでには至らず。
こちらに迫ってくる嘴が見えた。
キィンと高い音が聞こえて、瞑っていた目を開ける。
巨大な嘴の先を小さなナイフ一本で切断したのは間違いなく右京だった。右京はナイフを構えて化け物に突っ込んでいく。
また銃を連射する音が聞こえて、気付いたら化け物は病室の床で動かなくなっていた。
「――凄い…」
放心したように呟く。
「あはは、全く。大人を舐めない方がいいよ?」
右京は笑顔で言って、化け物の死体を窓から放り捨てた。
噎せ返るような血の匂い、目に灼き付くような赤色。
「何者なんですか、?」
響が聞いた。
「カルテには大量殺人犯って書いてあったよ、君達もだろう?カルテの隅の数字は、生きてる間に殺した数だよ。僕は70人、颯は35人」
颯は相変わらずの無表情と全てを冷たく見下すような何も映さない瞳で俺達を見下ろしていた。
ふふっ、と、無邪気な子供のようにも見える顔で右京が笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます