3回目 1

ベッドの上で目を覚ました。

「…あー…」

「これは…死んじゃったね」

結局、部屋の中には何がいたのだろうか。

その記憶は残っていない。

「どうする?もう一度あの部屋に行く?」

「多分あれはドアを開けたら死ぬやつだ」

どうするか考えていると響が口を開いた。

「病院から出てみようか」

病室を出ると、いつもの廊下だった。

エレベーターで一階まで移動して、一階の入口にあるガラスの自動ドアに近付く。

無抵抗にドアは開き、外に出る。

「んー、これは…」

病院の周りには本当に何もなかった。

ただ一面の白色が果てしなく広がっている。

背後で電子音が響く。

自動ドアがもう一度開いた。

『諦めろ』、とでも言うように。

「仕方ないな、戻ろう」


病室に戻る。

響は退屈したようにベッドに寝転がる。

「もうやることなくなっちゃったねー、どうする?」

「人を探す」

「誰かいるかも知れないってこと?」

「あれだけカルテがあれば、まだ生存者もいるかもしれない」

響がなるほどね、と呟きベッドから降りる。


その時、病室のドアが開いた。



――――――――――――――――――――――――

《九条 響》

物語の登場人物。

十六歳の元高校生、男性。

髪色は白、目の色は赤で、何故その色になったか覚えていないらしい。

カルテの数字は26。

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