廃社
すらかき飄乎
一 雷雨
激しい音と地響きで目が覚めた。
まだ、夜明けには随分早い。
闇を冒して
光と音との連関性には、初めのうち、多少のずれがあったものの、みるみるその
空を志向して見開いた瞳孔が向かう先、
彼方に確かに存在している筈の、月や星といった天体からの光はことごとく
天体の光に変わって、
その裂け目の幾筋かは、遂には地上にまで到達し、大いなる衝撃に大地が鳴動する。
破綻、瓦解といった
――ゆゆしき光、音、振動。
黒雲に潜んでいた、億兆を遥かに超える闇の粒は、今しも水と凝り、地上の土に、木々に、屋根に、――あらゆるものに叩き付け、あとからあとから際限もなく叩き付け、砕け散っては更に微細なる粒と化して煙りわたる。
その
自分は、ふと、あれを思い浮かべた。
あれもまた、雨に打たれているのだろう。
目を
数里に及ぶ高みから落ちてきた水の粒が、いくつもいくつもあれの表面にぶつかり、
幾千もの粒と、それが砕けたさらに細かな幾万もの粒、粒、粒、粒、粒、粒……
あれはその衝撃に震え続けているのだろう。
そんな様子を想像してしまっては、自分はもはや
己の体温に蒸された布団の上で輾転反側し、夜明けまで時を過ごす外は
<続>
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます