第2話 葵と向日葵
「葵、昨日も学校にいかなったのね。担任の岡田先生から電話があったわよ」葵の母、向日葵は葵が学校に馴染めない理由をよく知っていた。葵は想像力が豊かな子で一つのことに夢中になると他のことを考えることが出来なかった。
都会の学校では担任からは葵は授業中も夢想していることが多く、それが原因でクラスでは空気人間というあだ名で呼ばれていたそうだ。向日葵は葵を自然が豊かな場所で育てたいと思い、この場所に移って来た。結果的にクラスに馴染めず不登校になっているのは同じだが、葵の表情がこちからに来てから生き生きしていることに向日葵は少なからず驚いていた。
「何かいいことあった」「何もないよ。なぜそんなこと聞くの」
「葵の表情、都会にいる時とは全然違うからよ」
「田舎の空気が合っているからかな」葵はモデルの女の子のように細身だが、ほとんど病気したことがない子だった。
「母さん、僕も転地療養していることにして、学校行かなくても済むように出来ないかな」「転地療養って。葵いたって健康じゃない。僕もと言ってたけど、誰か転地療養している子がいるの」葵は口がすべったと思ったがすでに遅かった。
「いや、ネットでそういうものがあるのを読んだんだよ」母が葵の嘘を見抜いていることは分かっていたが、今は茜のことは話したくなかった。
「岡田先生に心配かけちゃだめよ。授業に出席しなくてもいいから、職員室に訪ねて来てと言っていたわ」
「分かったよ。明日は必ず先生に会いにいくよ」そう言うと葵は逃げるように自分の部屋に引きこもった。
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