支え

かいとも

支え

<1人の天使が、カイルの家にやって来た>


「カイル!居ますか!カイル!」


 ミア様の声!?それも急いでる。

 どうしたんだ?でも、速く行かないと。


<天使の声を聞き、階段を下っていった。

 そして、扉を開けた>


「どうしたんですか?ミア様」

「落ち着いて聞いてね。

マリが亡くなった」

「マリ…が…亡く…なった…?」

「そして」

「あ!待って!」


<カイルは足が勝手に動いていた。

 国民から声をかけられても、カイルには聞こえていない。

 カイルは信じたくなかった。

 昨日マリとの約束もあったから>


 マリが…亡くなった?嘘だ!嘘に決まってる!

 でも…ミア様は嘘をつかない。

 でも…嘘に決まってる!

 速く教会に行かないと!


<この世界では、亡くなった人間は教会に届けられる。

 天使が家族の場所に行き、亡くなった事を伝える>


<カイルは教会の扉を開いた>


「カイル。

部屋は4番です」


<カイルは何も言わずに、天使が言った4番の部屋に向かった。

 そして、4番と書かれた部屋につき、扉を開けた。

 4番の部屋には、神と1人の人間が横になっていた>


「ウルン様…そこに…居るのって…」

「カイルには分かるだろ」


<横になっていた1人の人間こそが、マリだった。

 カイルは声が出なかった。

 涙しか出なかった。

 ここに来るまで、嘘だと思って走っていたからだ>


 嘘だと思った。

 それを信じて走ってたんだ。

 マリは死んでいないって。


「泣きたい分だけ泣け。

無理に話そうとするな」


<カイルは泣き続け。

 そして時間がたち、神に言った>


「墓は…両親の隣でお願いします」

「分かった」

「ありがとうございます」


<そして、明日になった>


 もう無理だよ…

 なんで…マリまで行くんだよ…

 それも…俺の両親と一緒の、魔物から助けて亡くなったって…

 マリ…君は言ったよね?

 「師匠、私と家族になってください」って。

 俺はあの時嬉しかったんだ。

 昨日、婚姻届を教会に渡しに行こうって、言ったよね?

 もう…俺は耐えれない。

 両親が亡くなって。

 でも、両親の為に生きていこう!と思って今まで生きてきた。

 マリまで亡くなったら…俺の生きる為の支えはなんなんだ?

 ごめん…マリ…母さん…父さん…今…そっちに行くね…


<カイルは魔力で剣を作り。

 心臓に刺した。

 そしてカイルは、亡き命になった。

 英雄と言われたパーティーの1人カイル。

 カイルの心は、大切な人間が亡くなり。

 生きていく支えも無くなり。

 大切な人間の場所に行った。

 どうな人であれ、生きていく支えが無くなれば死んでしまう>

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支え かいとも @kaitomo

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