第3話 アクアリゾートにきました。

 プールの更衣室にある大きな鏡の前に座っている。

 鏡には亜麻色の髪を伸ばした女の子が座っているの。それをヘイゼルの瞳が見つめている。


 コームでまとめた髪にオイルをよく染み込ませる。。顎と耳の先の線のさきの高い位置へ髪を縛りポニーテールにして。

髪の結び目を抑えながら、毛束を引き出し三つ編みに編んでいく。 毛先までしっかりと編みました。首周りや耳周りの産毛にもオイルを染み込せて、なんとか、スッキリと髪がまとまってくれた。


 さんざん迷った水着は、サテンピンクの上下セパレート。

トップは、なんとシースルーのバフスリーブになっている。胸布もゆったりとしているんだ。

アンダーはブラックでハイウェストのミニスカートに見えるの。普段着っていってもわからないよ。

 本当は、ビキニスタイルで一孝さんを魅了するつもりだったんだけど、コトリがお祭りの屋台で爆喰いをして、お腹がプニプニのポコンポコンになってしまいました。

恥ずかしくって見せられません。現在、ママの指導でダイエット中。

 先日、みんなで水着を買いに行ったの。ワンピースにしようと思ったけど、今年の可愛い水着は、これって、お勧めがあって、私もこれならと気に入ったので買いました。

ヘアもまとめられたんで立ち上がって、姿を確認する。鏡の前テーブル体を一回りする。一孝さんに気に入ってくれますように。アンダーもハイウェストで、気になるお腹も隠してくれました。


「美鳥、終わった?」


 私の様子を見に来てくれたんだ。


「うん、できたよ。お待たせぇ」


 今日、一緒にプールに来てくれた友達のミッチ。水着はタンキニ。白いピッタリタンクトップにアンダーは、キュロット。ちょっとスポーテになってます。

最初はトップのリボンに始まり、フリルとか、ネックホルダーやら、ストラップレスのチューブトップ。色は黒とか白とか。

彼氏をゲットするぞの意気込みが大きくて、なかなか選べませんでした。あんまり際どくても、いい男は、ひくよってアドバイスして、なんとか決まりました。元気さで押してみるんだって。


「美鳥、可愛いねぇ。お似合いだよ」


 もう1人の友達のカンナ。ふんわりな雰囲気を私と同じようなコンセプトでネイビーのバフスリーブモノキニ。髪はマキマキダブルシフォン。でもね、後ろ姿はなかなか大胆です。


「ありがとう。カンナもお似合い…キャアキャア。せ、背中が際どいよ」


 この子、意外にやるのかも。


「さあ、行こか」


 ミッチが私たちの先頭になって更衣室から出ていく。エントランスから目の前に広がるのは、一面の白い砂。そして、小波が寄せる白い砂浜と青い海。これでプールなんだ。波打ち際で小さい子から大人まで水に戯れ、少し水に入っては波に漂う。大きい波にボディボートで乗っている人たちもいた。思わず青い空を探して上を仰ぎ見てしまう。天井の照明をみて、ここは人工のプールなんだと思い知る。あまりの風景に見入ってしまう。


「おっ、出てきたな。待ってたよ。美鳥…」


 一孝さんが待っていてくれた。紺色のグラデーションサーブパンツを履いて、腕を組んで立っている。上背もあるんで、なかなか壮観なんです。

彼が私の大切な人。大好きな人。そして愛してる人。キャッ、


 あれっ、一孝さんが、こちらを見たまま、動かない。どうしたの?


「あっ。待ってよ。美鳥」


 ミッチが慌てるぐらいの勢いで一孝さんのところに走っていく。近づいて、顔に手を翳してヒラヒラさせた。


「一孝さん」

「はっ」


 呼びかけたら反応があった。よかったぁ。何事もなくて。


「いやぁ、美鳥があまりにも可愛くてな。フリーズしたよ」


   ポンッ


 こっちもあまりな御言葉に顔が一気に熱くなり、頬に熱が集まる。


「美鳥、他の奴らに見せるのは勿体無い。このまま、持ち帰っていいか?」


   ポンッ


 真剣な顔して言ってくるんだよ。ドクン、ドクンって胸の中で心臓が跳ね回っています。耳まで熱くなってきました。手で顔を覆い、しゃがみ込んでしまう。


「どうした、美鳥」


 彼が、心配してかがみ込むのがわかったんで、私は立ち上がって一孝さんの胸に潜り込む。

熱が伝われと額をグリグリと押し付けてあげる。


「うぅ、恥ずかしいよぉ。でも、嬉しいよぉ」


 一孝さんは、私を抱きしめてくれて背中をトントンと優しく叩いてくれた。見上げると、すぐそこに彼の笑顔がある。私も喜びでいっぱいになりました。


「ちょっとぉ、2人だけの世界に行かないでくれルゥ」


 私に追いついたミッチから抗議の声が上がる。彼は、離れようとしたけど、チャンスだと思って、しがみついて離れません。お兄ぃ成分を充填です。


「羨まし……、じゃない。美鳥、いつまでもひっつかいないの。離れて」


 ミッチは私と一孝さんの間に手を入れて、引き離そうとしている。


「まあまあ、落ち着いて。美鳥も、そろそろ良いでしょ」

「残念、不十分」


 もうちょっとで一杯になったのに、ミッチの意地悪。一孝さんの胸から離れて、せめてもと横に立って、腕にくっついた。


「もう、しょうがないなあ」


 ミッチが腕を組んで見てきてる。呆れられたっていいもん。更に私は彼の腕に抱きついた。


「えへっ」


 ミッチは、両手のひらを上に向けて、


「はいはい、ご馳走様」


 呆れたって顔をしてる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る