第4話 sandy beach

 しばらくしてミッチは気を取り直して、一孝さんをみる。


「風見さん。私、柊美智子って言います。今日は美鳥のお守りありがとうございます」

「えー、お守り!」


ミッチのやつ、お守りは酷いよー。


「プンプン………、ミッチはね、小学校で初めてできたお友達なの。それからづっと、一緒にいてくれるんだよ」

「うんうん、思い出したよ。その時、友達できたって泣いて喜んでたよな。柊さん。美鳥がお世話になってるようでありがとう。これからも仲良くしてやってくださいね」

「泣いてって」「ふーん(ニシャ)」


お兄ぃが勇気をくれだからなんだよ。ミッチも、なんか企まないで。


 そこへ、カンナも、のんびりと追いついてきた。


「はぃ、2号の櫟木神奈です。お久しぶりで良いでしょうか?」


2号って? なんの2号。友達? それとも愛人。えっ、誰の。


「そういやあ、名残あるね。美鳥と遊んでるの、たまに見かけたからね。大きく、綺麗になったねえ」


ちょ、ちょっと!一孝さん。


「ありがとうございます。ふふっ」


「なんでぇ、カンナだけ美鳥の家、遊びに行ってたの? なんで誘わなかったのよ」

「だってミッチ、用事あるって1人でそっちいくし、寂しかったから」

「……」


「まあ、まあ」


しんみりとした雰囲気になりそうなんで私は2人を宥めていく。


「それで三つ子の1人が美鳥のママってわかったんだ。…美鳥」

「はい」


いきなり、違う方で返された。


「今度、美鳥の家行くからね。ママさん紹介してよね」



ミッチはにっこりと頼んできた。

「もちろん、盛大に、ご招待させていただきます。カンナも一緒におしゃべりしよう」

「私も、お願いね」


「立ち話もなんだから、そろそろプールの方に行ってみるか」


それまで蚊帳の外に飛ばされていた一孝さんが、雰囲気を変えるべく誘ってくれる。まずは、さっき見た白い砂が気になっていたんで、


「波の出るプールからでいいかな」


早速、3人並んで行きました。白い砂浜に入る。


サク、サク、サク、


足を踏み入れると砂が鳴るの。鳴き砂? 屈んで砂を摘んで手に乗せてよく見てみる。

粒が不揃いだけど、白いの。何か砕けたような感じがする。


「どれどれ」


私の肩越しに、彼が覗き込む。息がくすぐったい。


「この砂って、本物だよ。珊瑚が砕けたものだよ」

「そうなの」

「南の島から、わざわざ持ってきたんだね。海が青いってのも、この砂の関係って聞いた時あるよ」

「綺麗」


カンナもしゃがんで、砂を見てる。



なんだけど!


「カンナ! 背中、背中、際どいとこまで見えてるわ」


カンナの背中を見て、私は慌てた。振り返って一孝さんの目も手で隠した。なんでって!

モノキニの水着って、前から見るとワンピースなんだけど、後ろは、ざっくりと布地がなくなって、トップスもバッククロスだし、アンダーはローライズなんです。

それでしゃがむもんだから、お尻が見えちゃってるの。


「オー」


男どもの歓声も上がってるぅ。


カンナ!退場。手を引っ張って、ここの建屋の中にあるショップに直行。そこでパレオを買い、腰に巻きました。

でも、髪をマキマキシフォンにしてるから、背中が色っぽいのよ。


「何人か、カンナに悩殺されたかなあ。私もモノキニにすればよかったかな」


なんてミッチが言い出すし、他人事なんだけど恥ずかしーいのです。





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